自作小説倶楽部12月投稿
- カテゴリ: 自作小説
- 2018/12/31 22:49:13
『彼女の微笑みと鴉』
年の暮れ、駅前には行き交う人々が途切れることは無く、寒波にもかかわらず活気で気温が上昇しているようにすら感じられた。地上を歩く人々はそれぞれの道を急ぎ、ひとつのビルの屋上につながる扉が開いたことに気付く者はいなかった。
「寒ぃな」
先頭の男が扉を開けると背後にいた男は彼を押し...
『彼女の微笑みと鴉』
年の暮れ、駅前には行き交う人々が途切れることは無く、寒波にもかかわらず活気で気温が上昇しているようにすら感じられた。地上を歩く人々はそれぞれの道を急ぎ、ひとつのビルの屋上につながる扉が開いたことに気付く者はいなかった。
「寒ぃな」
先頭の男が扉を開けると背後にいた男は彼を押し...
『幻の娘』
「瞳子はどうしただろう」
最初の恐慌が去ると秋子の頭はそのことで一杯になった。
自分の身に恐ろしい事件が降りかかったとはいえ、娘のことを忘れるなんて何という駄目な母親だろう。自己嫌悪で気分が悪くなった。しばらく狭くて暗いクローゼットの中で身を丸めていたが、こんなことを...
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