自作小説倶楽部9月投稿
- カテゴリ: 自作小説
- 2019/09/30 21:00:27
『彼女が美しかった頃』
高校の時の古典の教師は山ババアと女生徒たちに呼ばれていた。苗字は山本か山田で、下の名前も「子」が付く地味なものだったと思う。覚える気もなかったから忘れてしまった。当時の年齢は30代だと聞いたが、10代の私たちにとっては遠い未来の年齢だった。外見もチビで小太り、肩の少し上で切...
『彼女が美しかった頃』
高校の時の古典の教師は山ババアと女生徒たちに呼ばれていた。苗字は山本か山田で、下の名前も「子」が付く地味なものだったと思う。覚える気もなかったから忘れてしまった。当時の年齢は30代だと聞いたが、10代の私たちにとっては遠い未来の年齢だった。外見もチビで小太り、肩の少し上で切...
カブトムシの森 コツン、と音がして千佳子は目を覚ました。玄関のドアを見るが、しん、と静まり返って動く気配は無い。少しして、それがベランダのガラス戸に何かが当たった音だと気か付いた。鍵を外して戸を引くと、夜風が千佳子の頬をなで、遠くで車のクラクション音が響いた。
ベランダには黒いゴミ袋がでこぼこ...
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