Nicotto Town



自作小説倶楽部4月投稿

『隣の彼女』
「まあ、ご丁寧に」と斎藤さんは白薔薇のように美しく微笑んだ。そんな気障な例えが浮かんだのは彼女がまとう香りとレースのたくさんついたブラウスのせいだ。さすがは都会、すごい美人がいた。「上下左右の部屋の住人の顔くらい見ておきなさい」と配布用の菓子を送りつけて来た母に少しだけ感謝した。持参し...

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自作小説倶楽部3月投稿

『手のひらの上』
「今、貴女は人生の岐路に立っています」占い師は少し軽い口調で言った。深刻に悩んでいる客になら、もう少し重々しい調子で話すだろう。しかし目の前にいる女は好奇心に目を輝かせて耳を傾けている。シナリオ通りで、楽しい展開をお望みだ。ならばプロとしてそう振る舞うのみだ。女は薄明りの中でも十分...

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