自作小説倶楽部12月投稿
- カテゴリ: 自作小説
- 2024/12/31 21:56:02
『まぼろし怪盗』
ガタン、ガタン…走る列車の定期的な振動に合わせて中吊り広告が揺れるのを私は見つめていた。夢見るような少女がそこに描かれている。「世紀の微笑」という文字が彼女の顔を隠そうとするように唇の下にあった。美術館で大きな展覧会があるのだ。その美術館には何度も足を運んだことがある...
『まぼろし怪盗』
ガタン、ガタン…走る列車の定期的な振動に合わせて中吊り広告が揺れるのを私は見つめていた。夢見るような少女がそこに描かれている。「世紀の微笑」という文字が彼女の顔を隠そうとするように唇の下にあった。美術館で大きな展覧会があるのだ。その美術館には何度も足を運んだことがある...
『蜘蛛女のキス』著プイグ評価★5/5
一応あらすじ
主に二人の男の会話から成る物語。夜の監獄の暗闇で映画のあらすじを語り、時々身の上話をするうちに二人の間に信頼が生まれる。実は映画の語り手のモリーナは刑務所所長の命令で政治犯のバレンティンを篭絡するという目的があった。しかし情の深いモリーナはバレンテ...
探偵レミングの災難 シュテファン・スルペツキ著
評価★1/5オーストリア出身の作家で舞台はウィーン。お人よしだがドジで小心者な探偵の話、という設定は面白いのだが、失礼だとは思うがモーツアルトが下品なジョークが大好きだったという逸話を思い出した。密輸に使われた犬を保護して犬の××...
『犯罪未然』
いっそ事故に遭って約束を反故にできないかと想像したが、そんなことも無く僕は待ち合わせの喫茶店に到着してしまった。もう引き返すことは出来ない。耳の奥にこびりついた別れを告げた時の彼女の「どうして」と言う声から逃れるように足を踏み出した。がらんとした店内の壁のしみのように小薮が片隅の席に座...
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