左回りのリトル(4)
- カテゴリ: 自作小説
- 2025/05/13 09:49:32
二つめの駅で、空は「お疲れさまでした」と言った。僕も「お疲れ。また明日」と返し、動き出す車窓の向こうの彼女が階段に消えるのを確認してから、鞄を開けた。
見なくていい、と言ったきり無言のままだった。僕は展覧会のパンフを開いた。
1ページ目。標本箱に並ぶデスマスク。
2ページ目。鳥の巣に眠る子供...
二つめの駅で、空は「お疲れさまでした」と言った。僕も「お疲れ。また明日」と返し、動き出す車窓の向こうの彼女が階段に消えるのを確認してから、鞄を開けた。
見なくていい、と言ったきり無言のままだった。僕は展覧会のパンフを開いた。
1ページ目。標本箱に並ぶデスマスク。
2ページ目。鳥の巣に眠る子供...
駅の中を通らずに線路下の地下道を抜けた。駅ビル脇の通用口で店内スタッフの身分証を見せ、首から提げる。従業員用のエレベーターは灰色で薄暗い。乗り合わせた女の子はコートの下にもう春の鮮やかな色の服を着たちぐはぐさで、少し寒そうに両手で自分を抱いている。僕は一人六階で降りた。
「おはようございます」
「...
深夜まで営業しているハンバーガーショップで、僕らは壁を睨んでいた。
「壁に面したカウンター席って、不健全だと思う」
「人を驚かす突飛な発言をする神経の方が不健全だ」
「どうしてって訊いたのはそっちでしょう」
「きみには配慮というものがないのか」
「人と話している時に思考が余所へ行ってる人よりはまし...
テーブルを囲んで時計回りに自己紹介をした。僕が「野宮柾です」と軽く会釈をして終わる筈だった。熱くなった鉄板にお好み焼きのタネがじゅうっと大きな音を立てた時、向かいの席の彼女が僕に「あの、」と小声で言った。
「こちらは?」
「え?」
彼女の視線の先は僕の隣の空間だった。壁いっぱいの長いソファ、壁に...
この前の『それスノ』を見た話。
女子メイク七変化というゲームでゲストの女性のメイクがビフォーアフターでどう変わったか当てるというものでしたが3番目に出てきたゲストがキングボンビーの扮装をしたキンタロー。さんでした。彼氏(回答者)を岩本くんがやったのですがキンタロー。さんは(ただでさえ変なメイクなの...