西の空が血の色に焼けている。
それを「美しい」と感じてしまう感性が、
この生き物の、救いようのない罪だ。誰かの犠牲の上に灯る明かりで、
俺たちは温かい食事を摂り、愛を語る。
その電気も、その熱も、
遠い地の誰かが流した涙と同じ色をしている。プライドを捨てたわけじゃない。
ただ、生き延びるという本能が...
西の空が血の色に焼けている。
それを「美しい」と感じてしまう感性が、
この生き物の、救いようのない罪だ。誰かの犠牲の上に灯る明かりで、
俺たちは温かい食事を摂り、愛を語る。
その電気も、その熱も、
遠い地の誰かが流した涙と同じ色をしている。プライドを捨てたわけじゃない。
ただ、生き延びるという本能が...
正義の重さを知っているか。
それは、タンカーが運ぶ数百万バレルの黒い沈黙よりも、
ずっと計るのが難しい。同盟の握手は固いが、
その手のひらの下で、俺たちは別の男と取引をする。
背広を着た男たちは、会議室で「結束」を誓い、
作業着の男たちは、埠頭で「延命」を荷揚げする。東からの風が、ウクライナの慟哭を...
夜の埠頭は、沈黙という名の重い外套を羽織っている。水平線の彼方から滑り込んできたのは、
かつて「ならず者」と呼んだ男が差し出した、黒い毒薬だ。
指を汚さず、清らかなままでいたい。
だが、空っぽの腹に理想は流し込めないし、
冷え切った部屋で正義を燃やすこともできない。「背に腹はかえられない」
誰かが吐...
北の凍てつく波濤を越え、
巨大な鉄の塊が、静かに日本の港へと舳先を向ける。サハリンの深層から汲み上げられた、重く黒い液体。
それは経済の論理と、冷徹な現実が交差する境界線上を、
音もなく滑るように進んでくる。正義か、あるいは必要悪か。
その問いを飲み込むように、
タンカーの底に眠るエネルギーは、ただ...
蒼い残像五月の夜は、生ぬるい風がネオンの海をかき混ぜる。
陽炎はアスファルトの熱を抱いたまま、
夜の底で死に損ねた幽霊のように、まだ揺らめいている。
カクテルグラスの縁で踊る光は、
誰かがついた嘘の数だけ、余計に眩しく見えた。街は眠ることを忘れ、贅沢な孤独を売り捌いている。
ビルの隙間に張り付いた影...