【お話】ミッドサマーティー
- カテゴリ: コーデ広場
- 2018/06/19 21:12:57
夏至の夜、この森には白夜が訪れる。
陽の沈まぬ時間、薄明がゆるるかに、いつまでも続く。
摘み取ったハーブで、お茶をいれましょう。
ミッドサマーティーはいかが?
ミントにタイム、エリカにバラに、ベリーも入れて。
そして忘れてはいけない、セントジョンズワート。
レモンをしぼって、はちみつを垂らして、
...
ほんのり楽しい、まったり時間。そんな場所。
夏至の夜、この森には白夜が訪れる。
陽の沈まぬ時間、薄明がゆるるかに、いつまでも続く。
摘み取ったハーブで、お茶をいれましょう。
ミッドサマーティーはいかが?
ミントにタイム、エリカにバラに、ベリーも入れて。
そして忘れてはいけない、セントジョンズワート。
レモンをしぼって、はちみつを垂らして、
...
月の夜に、湖に出かけた。
小さな手鏡を持って。
ゆらりと揺れて、月を映す水面に、
手鏡を、差し伸べた。
そこに生じるのは、合わせ鏡の世界。
有限の無限という矛盾が、ゆがみなく生まれる。
花の香りが落ちてくる。
時の結び目を、見つけた。
あれは、あの日のわたしとあなた。
まだ、何も知らなかったころの。...
薔薇が、泣いている。
森のなか、佇んだ。
静寂は、遠く近く、全てを包む。
差し伸べた、手の中に。
薔薇が残った。
誰からもらったものだったか。
それとも、誰かに渡そうとしたのだったか。
覚えていない。でも、ごく身近に、
はるか遠くに、
誰かと出会った、気がした。
何かを覚えていたはず...
崩れた壁の向こうに、
青く輝く森の世界。
こちらへおいでと、呼んでいる。
呼ばれているのは、わたし?
それとも、わたしが、呼んでいるの?
森で出会った友達は、
いつしか、彼方へ過ぎ去った。
わたしの手の中に残ったものは、赤い輝き。
確かに会ったと、そこにいたと。
思い出すよすがに、一輪の薔薇。
...
ふくろうが、招待状を届けに来た。
時刻は深夜。十三夜の月がひかるころ。
水晶の道を、ひとり、たどった。
足下にも、手元にも、青く、しらじらと青く、月光が宿っては消えてゆく。
石に反射するのは、誰かの思い出か。彼方の夢か。
世界を染める、しんとした光のなか、
現れた道をたどって、歩いてゆく。
夢をつぶ...