春の終わりだった。
夕方まで海を見て、帰り道をのんびり走っていた。
窓を少し開けると風が気持ちよくて、ラジオからは懐かしい曲が流れている。
助手席の彼女は、
「食べすぎた〜」
と笑ったあと、シートを倒して眠ってしまった。
穏やかな一日だった。
運転手も機嫌が...
春の終わりだった。
夕方まで海を見て、帰り道をのんびり走っていた。
窓を少し開けると風が気持ちよくて、ラジオからは懐かしい曲が流れている。
助手席の彼女は、
「食べすぎた〜」
と笑ったあと、シートを倒して眠ってしまった。
穏やかな一日だった。
運転手も機嫌が...
マッチングアプリで出会った彼女は、
プロフィール写真も、メッセージのテンポも、
なんかこう、論理的に考えて相性が良すぎたんですよね。
で、会ってみたら、
やっぱり可愛いし、話も合うし、
「これ運命じゃないですか?」って思ったわけです。
でも、なんか違和感があって。
彼女の言葉が...
欲をたつ
朝、目が覚めると同時に画面が光る。
おはようの代わりに、通知が喉を掴んでくる。
仕事は親切だ。
隙間という隙間を、丁寧に埋めてくれる。
空白を見つけては鍵を差し込んでくる。
いつの間にか、欲しいものがわからなくなった。
欲をたつ、とは、炎を消すことではない。
...
深夜の窓辺に立つと、 街は遠い水槽みたいに光っている。 あ、あそこの部屋、 カーテン閉め忘れてる。 おじさんがポテチ食べながらテレビ見てる。 完全に見えてる。 おじさんも気づいてない。 なんか目が合った。 お互い気まずい。 カーテン閉めろ。 読みかけの本を閉じる音。 冷めかけたコーヒー。 テーブルの...
深夜の窓辺に立つと、
街は遠い水槽みたいに光っている。
誰かの帰宅、
消し忘れた部屋の灯り、
名前も知らない生活たち。
それらを眺めていると、
自分だけが世界から少し浮いている気がする。
読みかけの本を閉じる音。
冷めかけたコーヒー。
テーブルの端に置かれた沈黙。
夜...