Nicotto Town ニコッとタウン

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アンカレッジの残り火

テッド・スティーブンス・アンカレッジ国際空港の滑走路は
凍てつく意志の線(ライン)だ
太平洋をまたぐジャンボの喉が
給油車から重油をあおり、深く、重く、唸りを上げるかつてここは、世界の十字路だった
冷戦の影をかすめ、極北を越えるための聖域
一時の安息と、焦げたコーヒーの苦み
アラスカ航空の機体が吐き...

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最終便、凍てつくアンカレッジで


ネオンが死んだ午前三時。
アンカレッジの滑走路は、
真っ白な沈黙に覆われている。ラウンジの安コーヒーは泥の味。
隣に座った女は、
見覚えのある寂しさをバッグに詰めていた。「東京まで?」
「さあ、どうかしら」ロシアを迂回するジェットの音が、
北極の夜を切り裂く。
さよなら、昨日までの俺。
ここから先...

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真夜中の、雨のルージュ

鏡の中の自分に、無理に微笑む必要はない。
その疲れきった瞳も、少し乱れた髪も、
今日という戦場を生き抜いた、貴女だけの勲章だ。孤独は、冷たくて鋭いナイフのように思えるかもしれない。
だが、そのナイフは貴女を傷つけるためのものじゃない。
貴女を縛り付ける、不要な飾りを削ぎ落とすためのものだ。誰かに寄り...

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午前零時のプラットホーム

重たい鉄の匂いと 逃げ場のない寒気が
無人のホームを 支配していた。
遠くで 夜汽車の低い唸りが 近づいてくる。
それは すべてを過去へ追い立てる 巨大な獣の足音だ。おまえの瞳は 湿っていたが
俺は あえて火を点けたばかりの 煙草に目を向けた。
「元気でな」
その一言をひねり出すのに 一生分の勇気を...

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玻璃の回廊

ガス燈が 濡れた石畳を淡く染め
港を臨む 坂の上の洋館
重い真鍮のドアノブを回せば
そこは 刻が止まった 琥珀の聖域蓄音機から流れるのは 擦り切れた異国の調べ
和服の上に 漆黒のインバネスを纏い
男は 影の落ちたサンルームに 独り立つ
指先に残る 封蝋の香りは 誰かの遺言か蔦の絡まる 赤煉瓦の壁の向...

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