Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



晩餐のあとがき

お見苦しいところをお見せしました。
この傷は、かつて私が正義と信じ、
見失ってしまったものの「名残」でございます。カフスボタンを留めるように、
私は毎日、自らの過ちを丁寧に整えます。
鏡に映る男は、一見すれば紳士に見えるでしょう。
しかし、その胸のポケットに忍ばせているのは、
決して投函されることの...

>> 続きを読む


ガラスの原罪

午前三時のバーボンは
喉を焼くというより、記憶をなぞる。
氷が溶ける微かな音は
かつて踏み外した階段の軋みに似ている。俺たちはみな、生まれた瞬間に
名前のない借りを作って生まれてくるらしい。
それが「原罪」なんて上等な呼び名なら
利息はとっくに、この街の雨に払いきった。「すまない」なんて言葉は
弾倉...

>> 続きを読む


最前線の幽霊

真夜中、体温計が38度を示した。
熱は嘘をつかないが、この身体も嘘をつく。
俺の血液銀行は倒産寸前だ。
白血球(やつら)はどこへ消えた?好中球は逃げ出した。
リンパ球はストライキ中。
俺の静脈は、たった数人の老兵が守る
人影のない防衛線だ。「さあ、来いよ」
喉の奥でくすぶる細菌(マフィア)どもに、
...

>> 続きを読む


硝子のライター

放課後の校舎裏は、いつも湿った土と
誰かが隠れて吸った安い煙草の匂いがした。
俺たちは、使い捨てのライターのように
火を灯す場所を探しては、空回りしていた。「遠くへ行こう」
隣で彼女が言った言葉は、
排気ガスに混じって消えた。
約束なんて、撃ち尽くした後の空薬莢(からやっきょう)ほどにも
価値がない...

>> 続きを読む


終幕の葛饅頭

窓の外は、すでに藍色の闇が降りてきております。
お盆の上に残されたのは、透明な葛に包まれた、一粒の餡。
それは、どれほど隠そうとしても透けて見えてしまう、私の本心のようでございました。私はその冷たい塊を、一息に飲み込みます。
喉の奥を滑り落ちる滑らかさは、逃れられない運命の感触に似ております。席を立...

>> 続きを読む





Copyright © 2026 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.