Nicotto Town ニコッとタウン

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標なき航路

北風が街の汚れを浚(さら)っていく
代わりに運んできたのは 塩の香りと
どこか遠くで鳴り響く 重い霧笛の残響だ視界を奪うほどの深い白
一歩先が崖か あるいは地獄か
そんなことは この波止場じゃ誰も気にしちゃいない「生きてる」なんて実感は
吐き出した煙草の煙が 風に散るその瞬間にしかない
手の中に残っ...

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幕引きのルール

吸い殻が、水たまりに落ちて音もなく消えた。
それが、この長い夜の終演(フィナーレ)を告げる合図だった。壁の向こう側から、微かに聞こえる街の鼓動。
世界はまだ続こうとしているらしいが、
俺の物語は、この三尺の行き止まりで綺麗に句読点を打った。無理にこじ開ける扉もなければ、
飛び越えられるほど、この壁は...

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逃げ場の終焉

湿ったレンガの壁が、行く手を塞いでいる。
振り返れば、追いかけてきたはずの喧騒さえ
夜の帳(とばり)に飲み込まれていた。ここは、地図から見放された吹き溜まり。
春のぬるい風も、この角を曲がれば
湿り気を帯びた古い鉄の匂いに変わる。行き止まりは、嘘をつけない場所だ。
言い訳も、退路も、未来への期待も、...

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硝子越しの春

春の陽光は、安物のバーボンに似ている。
見かけだけは華やかだが、喉を通ればただ苦いだけだ。街は薄桃色の騒音に浮かれ、
誰もが新しい季節の「正解」を探している。
だが、俺のデスクに届くのは
去りゆく冬が残した、支払期限の過ぎたツケだけだ。窓の外、桜の花びらがアスファルトに散る。
それは誰かが不器用に切...

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硝煙と静寂

街の隅、古びたカウンターに置かれたグラスの中で
琥珀色の液体が、過激な主義主張を飲み込んでいく。窓の外では、「正義」を冠した声が響く。
それは揺るぎない「原理」の名を借りた、冷たい風だ。
世界を一つの色に染め上げようとする、あまりに純粋で、あまりに鋭い意志。しかし、その純粋さが通り過ぎた後には
いつ...

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