グラスの底で
氷が痩せていく音がした
それがこの街の
唯一の誠実な告白だった煙草の煙が
天井の染みに吸い込まれる
消えていった奴らの
行先をなぞるように正義なんて言葉は
バーボンの安酒と一緒に飲み干した
喉を焼く熱さだけが
俺が生きている証拠だ「愛してる」よりも
「明日の朝まで生きていろ」
そんな無...
グラスの底で
氷が痩せていく音がした
それがこの街の
唯一の誠実な告白だった煙草の煙が
天井の染みに吸い込まれる
消えていった奴らの
行先をなぞるように正義なんて言葉は
バーボンの安酒と一緒に飲み干した
喉を焼く熱さだけが
俺が生きている証拠だ「愛してる」よりも
「明日の朝まで生きていろ」
そんな無...
夜の帳が下りる。
残光はビルの隙間に刺さり、
血のように赤い影を歩道に引き摺った。安物のバーボンの喉越しは、
この街の裏切りによく似ている。
火をつけた煙草の煙が、
消えかかった良心を隠すように漂った。誰かが言った。
「正義は、太陽の下にしかない」と。
ならば、俺に相応しいのはこの闇だ。沈黙だけが、...
20年、平穏という名の麻酔に浸かっていた。
安物のコーヒーを啜り、
誰にでも代わりのきく仕事で一日を潰す。
俺の牙は、とっくに生ゴミと一緒に捨てたはずだった。だが、路地裏から流れてきたのは
かつて嫌というほど嗅いだ、オイルと湿った鉄の匂い。
それと、暴力の前触れにある、あの嫌な静寂だ。体が勝手に、最...
月光が、古い傷痕をなぞる
20年という名の檻の中で
俺はすっかり、ただの飼い犬になり果てていた
名前を捨て、牙を隠し
穏やかな死を待つだけの、ただの影としてだが、この手紙を書き終えたとき
肺の奥で、眠っていたはずの獣が目を覚ました
静かに、だが確実に
氷点下の血が、再び熱を帯びて巡りだす街の雑踏に紛...
街は、古びた映画のフィルムのように
俺の記憶を勝手に書き換えていた
あの角にあったジャズバーは
今じゃ無機質なコンビニに成り下がり
安酒の匂いの代わりに、洗剤の香りが漂う20年前、俺はこの街の影に溶けた
誰にも見つからないように
自分自身からも逃げ切るために
アスファルトに染み込んだ血と涙は
幾度も...