鏡の中のそいつは、プロテインの粉末で肺を汚している。
安物のバーボンより、鶏のささみの茹で汁を愛する男。
鋼の鎧を纏ったつもりだろうが、俺に言わせれば、
それはただの、脱げなくなった重すぎる着ぐるみだ。「昨日のデッドリフトがさ……」
聞き飽きた。
お前の背筋がどれだけ唸ろ...
鏡の中のそいつは、プロテインの粉末で肺を汚している。
安物のバーボンより、鶏のささみの茹で汁を愛する男。
鋼の鎧を纏ったつもりだろうが、俺に言わせれば、
それはただの、脱げなくなった重すぎる着ぐるみだ。「昨日のデッドリフトがさ……」
聞き飽きた。
お前の背筋がどれだけ唸ろ...
サラダのドレッシングを断るその声は、
まるで弾丸を装填する音のように硬質だ。
「デフィニションが甘い」
吐き捨てた言葉が、冷えた店内に虚しく響く。細い指先がなぞるのは、恋人の頬ではなく、
大腿四頭筋に刻まれた、筋(ストリエーション)の深さ。
女を捨てたわけじゃない。
ただ、柔らかさという逃げ道を、
...
奴の血管は、浮き出た地図のようだ。
どこへも辿り着かない、迷路のような地図。
安物のプロテインの香りが、
バーボンの香りを台無しにしている。「今日はパンプが足りない」
奴がそう呟くたび、
俺の胃の底には、冷めたコーヒーのような苦みが溜まる。
上腕二等筋を誇示するために、
奴のシャツの袖は、いつだって...