美的感性が枯渇することを許されない私
- カテゴリ: 小説/詩
- 2026/09/22 16:18:33
風のなかに かすかなる調(しらべ)のきこゆる
あのふかき青き空の 雲のゆくへに
私はいつでも 眼をひらいてゐねばならぬ
美しきものが 私を呼びつづけてゐるゆゑ枯れ果つることを 許されぬ我が心は
一つの小さき花を ひそかに咲かせる
光と影の あはひ織りなす夢のなかに
私はいつも みづみづしき歌を求めて...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
風のなかに かすかなる調(しらべ)のきこゆる
あのふかき青き空の 雲のゆくへに
私はいつでも 眼をひらいてゐねばならぬ
美しきものが 私を呼びつづけてゐるゆゑ枯れ果つることを 許されぬ我が心は
一つの小さき花を ひそかに咲かせる
光と影の あはひ織りなす夢のなかに
私はいつも みづみづしき歌を求めて...
II. 紺碧(こんぺき)の棺(ひつぎ)もう二度と 使者は訪れないだらう
東の空が うすむらさきに明けても
僕の部屋には 濃い群青が澱(よど)み
失つたものの大きさを 数へてゐる月は白く濁り すべてを過去にするけれど
僕のてのひらに残る 銀のつめたさは
あの夜が 幻でなかつた証(あかし)
消えない哀し...
II. 届かない挽歌机のうえの 空つぽの硝子壜(びん)
そこには君が残した 群青のなみだ
僕はそれを 指でなぞつては
呼んでも還らぬ その名前を呟く風は林を鳴らし 遠い海へと吹き抜け
僕のちひさな溜息を さらつてゆく
使者が忘れていつた あおい手紙は
一行も読めぬまま 月のひかりに灼かれどうして僕は...
I. 熄(き)えゆく燈火(ともしび)群青の闇の底へと 夜は沈み
僕はひとりの部屋で 息をひそめる
窓辺に降りたつ 月よりの使者は
あおい外套に 冷たい星をまたたかせ君の失くした すべての言葉を
その銀の指先で そつと拾ひ集め
もう戻らない日々の かなしい残り香を
僕の閉ぢた瞼(まぶた)に 残してゆく...
III. 紺碧(こんぺき)のなごりもう 使者の姿はどこにもない
開け放たれた窓からは ただ
東の空が うすむらさきに明けてゆく気配だけ
あんなに深かつた群青は どこへ消えたらう机のうえには 空っぽの硝子壜
けれど僕の心は なぜだか少しだけ
洗ひ流された渚のやうに すきとほり
遠い調べが まだ耳の奥で...