陽だまりの中
私は走る
点と点をひらひら飛ぶ蝶でなく
獲物を狙う鷹のようにまっしぐらに
陽射しが私を後押しする
春風が私と競争する
街の中を走る
光の中を走る
横目でショーウインドウを見る
真剣な顔が一緒に走り抜ける
私は走る陽だまりの中
どこまでもどこまでも
やがて
私が風になるまで
...
陽だまりの中
私は走る
点と点をひらひら飛ぶ蝶でなく
獲物を狙う鷹のようにまっしぐらに
陽射しが私を後押しする
春風が私と競争する
街の中を走る
光の中を走る
横目でショーウインドウを見る
真剣な顔が一緒に走り抜ける
私は走る陽だまりの中
どこまでもどこまでも
やがて
私が風になるまで
...
一人の巡礼者として
老人はいばらの道を歩く
薄暮の道を
遠くにかすむ街の灯りをたよりに
一歩一歩踏みしめる足元に
汗と血がしたたり落ちる
歩め
天使の掲げる灯火は
彼の足元を照らし
福音を知らせるラッパが
迫りくる暗闇に鳴り響く
歩め
愛の杖をいばらに突き刺しながら
平和への祈りを口ず...
私は空を飛んだ
春の風に乗って
お花畑が小さくなっていく
犬がきょとんと見ている
雲を見た
飛行機を見た
空の香りがする
陽の香りがする
私は空を飛んだ
春の風に乗って
心が先に飛んで行った
あなたの元へと
思いが私を飛ばせた
過去から未来へと映像が走る
あなたの声がする
あなたの香り...
雪が降っている
車窓から見ている
後ろへ後ろへと流れ飛んでいく雪を
街の屋根が看板が街路樹が無言で受け止めていた
雪さえも受け止めてくれるところがあるのに
私を受け止めてくれるところは何処にもない
乗り換え駅に着くと電車が出た後だった
がらんとした空間がそこにはあり
人を持ち去った後のホー...
きのう雪が降った
冬の名残を惜しむように
まだら模様
雪の中から黒い土がのぞいている
それは雪の心に空虚な穴があいたから
何が悲しいのですか
雪も泣くのですか
白い涙を流すのですか
土が呼吸をしている
春の息の香りがする
雪の涙を吸い込むように
雪の生気を吸い取るように
春は今生まれた...