しめやかな秋の雨が そっと洗う
遠い東の 平らな砂のひろがりを
日暮れの海は 風をわすれて
鏡のように ただ静かにひそんでいるそこには だれの人影もない
ただひとりの わたしの影のほかには
失われた季節の 淡い記憶のように
波の音さえも やさしく途絶えてあたたかい涙のような 雨のしずく
それはわたし...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
しめやかな秋の雨が そっと洗う
遠い東の 平らな砂のひろがりを
日暮れの海は 風をわすれて
鏡のように ただ静かにひそんでいるそこには だれの人影もない
ただひとりの わたしの影のほかには
失われた季節の 淡い記憶のように
波の音さえも やさしく途絶えてあたたかい涙のような 雨のしずく
それはわたし...
夜汽車は ひとりきりの僕を乗せて
昏(くら)い夜の谿(たに)を ひたすらに走る
耳の底で 鳴りやまぬ古いチェロの音楽(うた)は
もう 誰の記憶でもない 寂しい調べだ窓のむこうの どこまでも青い闇から
冷ややかな月の光が 追つてくる
白い霧が立ち込め 風が窓を叩けば
見知らぬ僕の個影(こえい)が どこ...
夜汽車は ひとりきりの僕を乗せて
昏(くら)い夜の谿(たに)を ひたすらに走る
耳の底で 鳴りやまぬ古いチェロの音楽(うた)は
もう 誰の記憶でもない 寂しい調べだ窓のむこうの どこまでも青い闇から
冷ややかな月の光が 追つてくる
いくら速度(はやさ)をあげて 逃げやうとも
あの白い光は 僕の肩を ...
夜汽車は どこへ僕を運ぶのだらう
窓のむかふには 昏(くら)い夜のひろがり
かすかにひびく 古いチェロの音楽(うた)が
僕の耳の底で ずっと 鳴りやまずにゐるあゝ それは 遠い秋の日の記憶のやうに
ともされたランプのひかりのなか
あかい紅葉(もみぢ)の葉が ひとひら、ふたひら
僕たちの足もとに 落ち...
窓の外(と)は 青い夜の谿(たに)だらうか
うすいガラスに映る 僕の顔は
なつかしい人の面影(おもかげ)に似て
ただ 黙つて 流れてゆく……おまへの知つてゐる 美しいもの
風の音(おと)や 白い草の花や
遠い日の かへらない約束よ
僕は なぜ ここに乗つてゐるのだらう夜汽...