六つの白い花弁を纏い
空(くう)に咲く小さな花
春に芽吹く喜びを知らぬ
切ないひとひら
温い風に溶かされ
水となり雲となり
再び六枚の花びらを綻ばせるその日まで
さようなら さようなら
***
六花→雪の異称
日日是悪日
六つの白い花弁を纏い
空(くう)に咲く小さな花
春に芽吹く喜びを知らぬ
切ないひとひら
温い風に溶かされ
水となり雲となり
再び六枚の花びらを綻ばせるその日まで
さようなら さようなら
***
六花→雪の異称
無音にて不香
存在の有無を伝える術を忘れた
馬鹿な花
だのにどうして
そんなにも人間を魅了するの
あたくし あなたに勝てた気がしなくてよ
黙っていれば 悦い気になって
とんだ猫被り
純白と真紅
大輪と矮小
あんたなんて
情熱の赤で
とかしてやるんだから
***
不香(ふきょう)の花=雪の異称
...
生まれ堕ちて 実に成らず
薄い花びら 四方に散らし
歓びも哀しみも 判らぬまま
呼吸停止
どうして生まれた?
どうして死んだ?
ゆらりと影を重ね合わせ
色濃くなる闇の その奥の
一輪の花に 目を見張る
花の名は憧憬
まだ誰も触れたことの無い
美しき理想
いつか手が
届くのだろうか
息がとま...
純愛とよぶには物騒すぎて
狂愛というのは安すぎる
ダイジョウブ ちゃんと愛しているから
背徳的と貶すにはいささか甘美すぎて
神性と讃えるには少し血の匂いがする
ダイジョウブ 痛くはないはずさ
さあそろそろ
二人の間に名前をつけよう
キスは鉄錆の味
この関係に
ぴったりの名を
***
D...
残暑見舞い、申し上げます。
この恋の熱も収まらぬまま、夏が終わろうとします
貴方にときめくこの季節は
愛しいものでした
遠ざかる蝉時雨
貴方にはまだ聴こえていますか?
どうか聴こえますように
一途に恋をうたう姿は、私だから
消えそうな蛍の灯り
貴方には見えましたか?
どうか見えますように
貴方...