風が かすかな光の粒をはこんできて
ぼくの指先に そっとふれては消えてゆく
きみがそこにいるのか どこへゆこうとするのか
ぼくにはどうしても たしかめることができない位置を定めようとすれば 速度(あしどり)がにげ去り
ゆくえを追おうとすれば 姿が見えなくなる
まるで つめたい数式のなか...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
風が かすかな光の粒をはこんできて
ぼくの指先に そっとふれては消えてゆく
きみがそこにいるのか どこへゆこうとするのか
ぼくにはどうしても たしかめることができない位置を定めようとすれば 速度(あしどり)がにげ去り
ゆくえを追おうとすれば 姿が見えなくなる
まるで つめたい数式のなか...
世界は冷え切った、必然の坂道を転がり落ちてゆく
秩序は崩壊し、すべての熱は均一な闇へと融解する。
これこそが法則だ、だれも抗うことのできない冷酷な数式だ!
だが、私の凍える指先は、なおも神の外套の裾を求めて彷徨っている。私のなかの悪魔が笑う、「すべては無秩序へと向かうのだ」と。
昨日紡いだ美しい祈り...
風のゆくへをだれもしらない
それはひかりの粒子(つぶ)のように
くらい空欄(ヴォイド)をとびまはつてゐる
いつかおちつくべき場所をさがすやうにおもひでの波長はかさなりあひ
もつれあふ けふの空の下で
ひとつの言葉は ふたつの状態(すがた)をもち
ここでありながら どこか遠くへもゆくあかい夕暮れの輪郭...
深い闇のなか、ただ静かに星のまたたきを数えるように。
すべての音が眠りについた、いちばん優しい夜の底。星屑の森によせてだれもいない、夜のしじまのなかで、
古いオルガンは、息をひそめて眠っている。
窓からさしこむ、あえかな星のひかりだけが、
かすれた鍵盤の上に、しずかに横たわっていた。もう、あの細い指...
微かな風が、色褪せた鍵盤をなでてゆく。
追憶のなかでだけ、その歌は静かに響きつづける。星屑の森によせてだれもいない、がらんとした部屋のすみに、
古いオルガンが、ぽつねんと眠っている。
星の光が、窓のすきまからそっと忍びこんで、
象牙(ぞうげ)の鍵盤を、淡い銀色に染めていた。むかし、そこには、
硝子(...