深い河のゆくへを だれも追はうとはしないやうに
この岸辺のしづけさを おとづれる者もゐない
ただ僕ひとりが 草をふみわけて行き着いた
誰も知らない 秘密のバラ色の庭園(には)よ
あふれるほどの花びらが 夕映えのやうにひらいて
あまい香りは 僕の記憶の古傷をあたたかく包む
けれどここには 僕をよぶ「お...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
深い河のゆくへを だれも追はうとはしないやうに
この岸辺のしづけさを おとづれる者もゐない
ただ僕ひとりが 草をふみわけて行き着いた
誰も知らない 秘密のバラ色の庭園(には)よ
あふれるほどの花びらが 夕映えのやうにひらいて
あまい香りは 僕の記憶の古傷をあたたかく包む
けれどここには 僕をよぶ「お...
青い夜のすきまを ひそやかに満たしてゆくのは
むせ返るやうな あらくさの夏の香(かほり)だらうか
僕らは言葉をなくし ただ闇のほとりに佇んで
あつい息のなかに たがひの孤独をたしかめてゐる
月光にすかされた おまへのうなじを
ひとすじに伝ひ落ちる 銀の汗のきらめき
それは言葉にならない 祈りのやうな...
ひとすじの青い、かなしみのやうに
夜の林の奥を ひそやかに流れる河がある
だれもそのゆくえを知りはしないのに
草の葉は かすかなその呟きをきいてゐる
樹々の梢が そっと夜空にひらいた窓から
あかるい月光がこぼれて 水の面(も)を濡らす
それは遠いむかしに失くした おまへのまたたく瞳
それとも僕が忘れ...
くらい草原に 雨がふりつづいている
それは しずかに光る銀色のつぶ
風のない午後の かすかな音楽のように
みどりの葉のうえに あわくこぼれて。わたしの目には いまも浮かんでいる
雲のすきまからこぼれた、淡い光が
遠い日の あなたのやさしい眼差しのように
さびしいわたしの心に 満ちてゆくのが。ひばりは...
岬(みさき)のまぶしき 太陽(ひかり)のなかを
ひとつの白帆(しらほ)が 遠ざかつてゆく
君と見上げし 眩(まばゆ)き空には
ただ入道雲(にふだうぐも)の 湧きたちて波のあひだを くだくる光は
いつも少しだけ 黄金(こがね)を帯び
忘られぬ あの日の言葉さへ
潮騒(しほさゐ)のなかに 収めたるままな...