Nicotto Town



通り過ぎる日々

あの日あの時の情景が
目の前を足早に過ぎ去っていく

遠くに止まって見える景色が
ゆっくりと動いていたのが今わかった

そうやって

あなたは
私の視界から消えて行ったんだ

そんなことわからないよ

だってあなたは
現実にいつもそこにいたんだから

走って追いかけることの出来ない距離が
私の心に鞭...

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花を買いに行こう

広く開け放された窓から
春の光と香りが迷い込んでくる

さぁ花を飾ろう
この部屋に

白い食器に反射する陽光に
コーヒーのブラックも歌ってる

そう
赤い小さな花がいいなって

外にはもっと澄んだ光が舞っている
今すぐに買いに行こう

さぁ手をつないで
いっしょに

君にそっくりな
小さな赤い花を
...

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そして遠くへ・・・

さっきまでの
春の緑色が抜けていく

ほどいたリボンから
暖かな風の中へと

大切にしていたものが
時の中で失われていく

ひとつ
そしてまたひとつと

流れていく
風の川の中に浮かび沈みながら

追いかけはしない
解き放ったのは私なんだから

やがて青い海の中へと
それは沈み込み同化し消えていく
...

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もう一度だけ

約束の時間が過ぎていく
無言で通り過ぎる人の群れの中で

左手で持つ携帯が
静かに時の流れの中に沈んで行く

あの時言った君のさよならを
僕は信じない

それは僕の独りよがり
それは僕の強がり

その後振り向いた時の
君の微笑みは何だったの

もう一度聞きたい
君の本当のさよならを

最後に
もう一...

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パート4

それから4回目の冬が巡って来た。

佳は鎌倉の七里ガ浜にいた。
遠く海をじっと見つめていた。

あの時と変わらない優しい日差しと
波の音が心に響いてくる。

冷たい風が頬に当たった。

「暖めてあげるから」
そう言って彼は一人日記帳を強く抱きしめた。

気が付くと一匹の子犬が
佳の隣に座っていた。
...

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