青い夜のための十四行詩
- カテゴリ: 小説/詩
- 2026/05/23 21:43:14
それは かつて私たちが語りあつた
ちひさな約束のやうに ひそやかで
私はひとつの涙の雫を
外套のポケットに そつと忍ばせてゐる風が吹いて 梢のあいだを通りすぎるとき
失はれた日々の うす紅色のパステル画が
追憶のなかで 優しく揺れるけれど
私はもう ふりむくことをやめよう窓のそとには ただ青い夜がひ...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
それは かつて私たちが語りあつた
ちひさな約束のやうに ひそやかで
私はひとつの涙の雫を
外套のポケットに そつと忍ばせてゐる風が吹いて 梢のあいだを通りすぎるとき
失はれた日々の うす紅色のパステル画が
追憶のなかで 優しく揺れるけれど
私はもう ふりむくことをやめよう窓のそとには ただ青い夜がひ...
Ⅰ
光は こぼれる雲のすきまから
みどりの若葉の あわい手のひらに
ぼくらはそこへ ゆかうとしていた
まだだれも知らない 四月のあの森へいまや季節は 五月のあかるい扉をひらき
森の奥深く 光のしづくをあつめてゐる
おまへがそっと 指さしたその先に
青いまたたきを交はす 小さな小川のせせらぎⅡ
さらさ...
光は こぼれる雲のすきまから
みどりの若葉の あわい手のひらに
ぼくらはそこへ ゆかうとしていた
まだだれも知らない 四月のその森へそよ風がひとしきり 梢(こずえ)をゆらせば
見えない小鳥の うたふ声がきこえる
おまへは小さな日傘を ひろげながら
ぼくのしづかな足音に 耳をすます夢みたものは あかる...
五月の太陽は、あまりにまぶしくて
あつく、あつく、白い舗道を灼いてゆく
けれど、ぼくの指先はなぜだろう
冷たいガラスのように、ずっと凍えている青葉のすきまから零れるひかり
それは、かつて君と見た夢の破片
あまりに鮮やかな、この季節のなかに
ぼくはもう、君の影を見つけられない「五月の風をクリームにして...
五月のあつい太陽が 青葉を灼き
白い舗道を まぶしく照らしだす
けれどぼくの部屋の 小さな窓には
冷たい孤独の影だけが 落ちているあの日 君と見た夢の破片のように
光の束が ガラスの器にみちてゆく
そよ風をクリームに仕立てる その前に
ぼくの指先は かすかに震えているつよすぎる光は 哀しみを連れてき...