風と追憶つゐをく硝子(がらす)の街角2
- カテゴリ: 小説/詩
- 2026/06/20 22:24:08
雨に濡れたる アスファルト
ガス燈の火は 仄(ほの)甘く
君を失ひし 舗道(ほどう)の上(へ)
ただ青き影の 伸びゆくだけ琥珀(こはく)のなかに 融(と)けてゆく
夜(よる)の吐息(といき)の 悩ましさ
さよならの 代(か)はりの接吻(くちづけ)を
硝子窓に 残したるままなりきされど 遠くで鳴りひび...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
雨に濡れたる アスファルト
ガス燈の火は 仄(ほの)甘く
君を失ひし 舗道(ほどう)の上(へ)
ただ青き影の 伸びゆくだけ琥珀(こはく)のなかに 融(と)けてゆく
夜(よる)の吐息(といき)の 悩ましさ
さよならの 代(か)はりの接吻(くちづけ)を
硝子窓に 残したるままなりきされど 遠くで鳴りひび...
煙(けむ)る五月の 雨のなかを
ひとつの列車(れつしや)が 遠ざかつてゆく
君を見送りし 灰色のホオムには
ただ冷たき 水たまりの光りて僕らのあひだを 流れたる時間は
いつも少しだけ 翳(かげ)を帯び
さよならの 一言(ひとこと)さへ
外套(ぐわいたう)の隠しに 収めたるままなりきされど 傘をすぼむ...
風はしづかに 梢(こずゑ)をわたつてゆき
わたしのこころの ふるへる弦(いと)を鳴らす
はるかなあなたを ただ想ふとき
むらさきの夕闇が そつと降りてくるあなたの名前を いくたび呟(つぶや)いたら
この寂しい胸のなかに ともしびが灯るだらう
とほい窓辺の あわい光のように
あなたは優しく わたしを焦...
六月の雨は しづかに降りつづき
あぢさゐの森を ふかく濡らしてゆく
うつろふ花びらの あをい影のなか
わたしのこころは ひとり迷つてゐるあなたの言葉は ひとしづくの露
葉すゑに震へて すぐに消えてしまつた
呼びかける声は 霧にさへぎられ
冷たい風だけが 黄昏を渡る薄暗い雨の光が あわく差し込んで
も...
ふと見あげれば 窓のむこうに
おおきな 白い雲がわき起こつている
それは あたらしい季節のまねき
青い空のキャンバスに ぽつくりと浮かんだ
ちひさな ちひさな 旅人のやうにわたしは ペンをそつと置いて
まだすこし濡れている 青いノートを閉じる
わすれな草のページは 胸のなかにしまつて
いま あたらし...