もう、汚れた絵の具で手を汚す必要もない
画商の歪んだ笑みも、審査員の品評も、俺の視界には入らない
お布施の額で決まる安っぽい栄光なんて
俺の頭の中の、この一瞬の火花に比べりゃゴミ同然さキャンバスに向かう必要すら、今の俺にはない
引き金を引くよりも速く
思考の閃光(フラッシュ)が、完璧な色彩を脳裏に焼...
もう、汚れた絵の具で手を汚す必要もない
画商の歪んだ笑みも、審査員の品評も、俺の視界には入らない
お布施の額で決まる安っぽい栄光なんて
俺の頭の中の、この一瞬の火花に比べりゃゴミ同然さキャンバスに向かう必要すら、今の俺にはない
引き金を引くよりも速く
思考の閃光(フラッシュ)が、完璧な色彩を脳裏に焼...
額縁(フレーム)を一枚めくれば
そこにあるのは芸術(アート)じゃない、ただの商売さ
パレットに絞り出された極彩色の絵の具より
汚い金(カネ)の匂いのほうが、ここではよっぽど息がしやすい美を語る審査員どもの肥えた腹
あいつらの耳をひらかせるのは、崇高な批評(セオリー)じゃない
乾いた音を立てて積み上が...
煤(すす)けた硝子窓から差し込むパリの陽光は
ナイフの刃先のように、鋭く、どこか冷たかった
筆を洗うテレピン油の鼻を突く匂いと
肺の奥に染み付いた、あの頃の安タバコの苦い煙剥げかけた漆喰(し喰)の壁に囲まれたあの教室で
俺たちは誰もが、己の魂をキャンバスに叩きつけていた
白い麻布(キャンバス)を睨み...
ドアの向こう、濡れたネオンの光の中で立ち尽くす恥知らずの影。
手軽な賞賛という麻薬が切れ、ただのガラクタに成り下がった男。「俺の何が悪い」と、お前はまだ濁った目で訴えかけてくる。
効率的に、美しく、誰もが喜ぶ絵を出して何が悪い、と。笑わせるな。
お前のような似非芸術家は、今すぐ150年前のフランスへ...
ドアの向こうで、なおも湿った泣き言が続いている。
かつてネットの安全な檻から、偉そうに「技術の革新」を語り、
他人の血と汗をボタン一つで掠め取っていた、あの恥知らずの声だ。だが、俺の心は1ミリも揺らがない。
すがりつく指先を容赦なく踏みにじるように、
俺は背を向け、冷えたウイスキーのグラスを傾ける。...