Nicotto Town


しだれ桜❧


 

刻の流れー97

セーフハウスで犬飼は紐育倶楽部の平面図と横浜の地図を広げていた。棚のラジオからニュースが聞こえる。
「こうも段取りまで取られてるってのがどうも気に入らないな・・・」
一人ゴチながらも食い入るように図面を見ている。そこにはご丁寧に侵入経路まで赤線で引いて書き込んであった。定規を当てた細い線の引き方、几...

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刻の流れー96

「あれっ タクシーですか?」
2週間ぶりに車屋に顔を出した犬飼をいつもの従業員が迎えてくれた。貸したバンで来るものと思っていたらしい。
「いや、今日は俺のブルーバードをとりに来たんだ。」
従業員が犬飼の車のキーを取りに事務所に走っていった。犬飼も続いて事務所に入り
「バンはもう少し借りておくよ、色を...

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刻の流れー95

犬飼は銀座でワインを一本仕入れ、おっしょはんの所へ姿を現した。腕時計を見ると5時10分前だ。『ピンポ~ン』「は~い」ドアベルを押すと、すぐに奥からのんびりした返事が聞こえ、パタパタと軽い足音が玄関に近づいてくる。内側からドアが開き、いつもと変らない笑顔でおっしょはんは犬飼を迎えてくれた。「ほい ワイ...

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刻の流れー94

目的のコインロッカーは案外たやすく見つける事が出来た。犬飼はそれでも、すぐにはロッカーへは近づかず、周辺をぐるぐる歩き回った。
「罠かも知れない。」
その疑いが常に犬飼を慎重にさせるのだ。
神戸から新幹線でその日の昼過ぎ東京に付いてからと言うもの、おっしょはんのところにコンタクトを取ってきた謎の男に...

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刻の流れー93

「なかなか面白いな。」
原田が言うと、
「ああ、俺の知ってるのはそこまでだ」
興津はベッドの端に座りなおして原田に聞いた。
「で、お前の方の情報は?」
「俺の情報は、どうやらその面白い話に繋がりそうだぜ。」
原田がにやりとする。
「俺はおととい梶に言われて斎藤をここまで送ってきた。病院前で下ろしたあ...

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