【龍】‐4(「契約の龍」SIDE-C)
- カテゴリ: 自作小説
- 2010/02/23 08:08:30
不意に、後ろから手が伸びてきて、抱きしめられた。
驚いて振り向くと、会いたいと思っていた顔が、そこにあった。が。
「…全部、じゃないよね?ところどころ欠けてるけど」
いくらここまでの障壁が頑丈でも、本人が来てて、こんなにぼろぼろになったりはしないだろう。…まず、胸...
ぶろぐ、の、ようなもの。
不意に、後ろから手が伸びてきて、抱きしめられた。
驚いて振り向くと、会いたいと思っていた顔が、そこにあった。が。
「…全部、じゃないよね?ところどころ欠けてるけど」
いくらここまでの障壁が頑丈でも、本人が来てて、こんなにぼろぼろになったりはしないだろう。…まず、胸...
「それは……妾には判らぬ。だから、妾にできる限りの事をしているだけだ。………なのに、背の君の心は戻って来ぬ」
また「背の君」か。
「あなたのいう「背の君」は、ユーサーでなければならないの?もともとのこの方ではいけないの?」
長...
「誤った、呼びかけ……」
女が茫然と繰り返す。
「その方が生まれた頃の事をあなたがご存じなのでしたら、その方にとって、「ユーサー」というのは自分の事ではなくて、遠いご先祖の事なんです。だから、何度ユーサーと呼びかけても、応えは返ってこない」
「では、本当に&hellip...
慟哭。
その空間に満ちているものに名を付けるとすれば、それだろう。
慟哭を上げているのは、この空間の中心にいる存在だ。前に来た時には、青い女の姿をしていた。青い髪、青い肌、青い服。彼女はあれからずっと泣き続けていたのだろうか?もしかするとそれ以前も、……事によると、...
「…ところでその「王子様」っていうのは……」
「クレメンス大公の事だけど?」
「それは、判りますが……他の呼び方もあるでしょうに、何で「王子」で、さらに「様」が付くんですか?」
「そうねえ……気...