波乱続きだった穏やかな秋の日曜日 (前編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2013/10/31 20:39:13
駅近くの繁華街にある立飲み屋で飲んでいる内に、時計が0時を
回って土曜日から日曜日になった。
1時間ちょっと前までは、別の居酒屋で先月の初めまで付き合っていた
元彼女と一緒に飲んでいた。
夕方、部屋でぼんやりしていると彼女から電話がかかって来て、
しばらくの間、ちょっとギクシャクとしたものを感...
駅近くの繁華街にある立飲み屋で飲んでいる内に、時計が0時を
回って土曜日から日曜日になった。
1時間ちょっと前までは、別の居酒屋で先月の初めまで付き合っていた
元彼女と一緒に飲んでいた。
夕方、部屋でぼんやりしていると彼女から電話がかかって来て、
しばらくの間、ちょっとギクシャクとしたものを感...
「松尾山に馳せ小早川が陣に鉄砲を撃ち掛けよ」
家康は旗本鉄砲頭、布施孫兵衛重次に命じた。
重次は思わず顔を上げ、驚きの眼差しを家康に向けた。
「仰せ承って候」
布施重次は鉄砲組を率い本陣を出て松尾山にむかった。
・・・
松尾山・小早川秀秋陣
俄かに山の中腹辺りから、鉄砲が放たれる音が聞...
日中は秋晴れで既に暑気はすっかり去り過ごし易かったが、日が落ちて夜に入ると
岡山城本丸の東側の真下を流れる旭川の闇は冷気に包まれた。
秋の夜の静寂に包まれた、本丸御殿で少し肌寒さを覚えながら、杯を手にしている
この岡山城の城主で、備前・美作55万石の大領主、従三位権中納言・小早川秀秋は
夜が更け...
「今、考えりゃあ高校生活なんかあっと言う間に過ぎて行ってしもうた気がするのう」
桐島マモルがしみじみといった表情でそう言ってビールを飲み干したジョッキを
テーブルに置いた。
手書きでメニューと値段が書かれた貼紙が並んだ壁の端の柱に掛かった時計を
見ると、夜の九時が近付いていた。
まだ、夕刻に...
腕時計を見ると午後の八時を少し回っていた。
JRの駅から数年前に閉山された鉱山の麓にある小さな町まで行く最終のバスは
長く続く山裾とすぐ真下を流れる川に挟まれた真っ暗な道路をゆっくりとカーブを
描きながら走り続けている。
窓の外の闇の中で窓から漏れる照明の光に照らし出されたすぐ間近の路側線や
ガ...