Nicotto Town



地球の歌  (後編)

「せんぱーい、星を見ているんですか~」なでしこが近づいてきた。酔っている気配がする。
「何を聞いているんですか~」そういうとなでしこは、イヤホンの片方をはずして、自分の耳に入れた。なでしこの頬が触れ合うほど近い。なでしこからアルコールと女の子の甘い香りがしてくる。
「変な歌ですね。スタッカートが効い...

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地球の歌  (前編)

ソロキャンプ部の部長をしている。れっきとした大学公認の部活で、創部から50年以上の歴史をもつ。アニメゆるきゃんやヒロシで、雨後のタケノコように現れたその辺のサークルと一緒にしないでほしい。
スマホもSNSもない頃、男女の出会いは限られていた。昭和の時代は、盆踊りでナンパするか、恋文を送りつけるしか、...

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どんど焼き

紅白が終わり、蕎麦を食べながら、行く年くる年を見ていたら、炬燵の上に置いていたスマホが鳴った。慶子ちゃんの着信音だった。慌てて、スマホを持つと階段を昇って、自分の部屋に戻った。日付が変わるまで、あと3分。きっと、明けましておめでとうの挨拶だろう。
「ごめん、ごめん、待たしちゃって。」「ううん、急に、...

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展覧会の絵

息を吸うと身体が緊張する。息を吐くと身体が弛緩する。炭次郎は、かじかんだ手の平をこすり、大きく息を吸ったあと、鍵盤を叩き始めた。最初の二小節は右手だけで主旋律を弾く。https://www.youtube.com/watch?v=Le6JmAVWSXU
一小節目は4分の5拍子、二小節目は4分の6拍子...

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うどんとなめこ

 いったいこのままいつまで 一人でいるつもりなのだろう だんだん自分を恨んだり 誰かを羨んだり・・・
バックヤードの警備室から、あいみょんの「裸の心」が流れてくる。普段はテレビを見ない警備員も、お茶を飲みながら紅白を見ている。
一人ぼっちの大晦日がこんなに寂しいものだとは思わなかった。いや、世界で自...

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