Nicotto Town


しだれ桜❧


 

刻の流れー92

その頃、原田は同じ医院で興津を見舞っていた。「よっ 見舞いに来てやったぞ!」ノックもせずに原田はいきなり部屋に入ってきた。「おや?」原田が意外そうに部屋を見渡す。「今日はまだ営業活動をしていないのか?」現場を押さえてからかってやろうという魂胆だったのに興津しかいない。「俺はカサノバじゃないからな。」...

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刻の流れー91

果たして、アキラ達の必死の芝居の一部始終を向かいのビルの3階から川崎が双眼鏡でみていた。「女が戻ってきたようだ・・・」その言葉で、鈴木が窓際に飛びついたときには、アキラたちは全員ドアの内側に消えていた。「女が帰ってきただと?間違いないのか?」鈴木が同僚に食いかかる。「犬飼と抱き合っていた。間違いない...

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刻の流れー90

病室のブラインドの隙間から駐車場を見ていた環がアキラに声をかけた。
「CB750だ・・・・」
食べかけの弁当を横のテーブルにおいて、アキラが窓際に近寄ってきた。枝の隙間から駐車場に懐かしいロスマンズカラーのCB750がとまっていた。要は見当たらないので、きっと病室まで上がってくるところなのだろう。案...

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刻の流れー89

ホールに戻ると、床の残骸はあらかた片付いており、野次馬の女達がのろのろとエレベーターに向かっているところだった。要はその中から桜を見つけ出して手を振った。
『話があるんだ。』
のジェスチャーを察して、桜が戻ってきた。

「明日から1週間休みになったんだ!」
「うそ!」
他の従業員にとっては週休1日の...

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刻の流れー88

翌日ラ・パルフェ・タムールは定休日だった。田中支配人が芦屋で大切な客に会うと言うので、要が運転を命じられた。朝一から井上医院のアキラ達に合流するつもりでいた要は、当てが外れて、気が気ではなかったが田中が中に消えた豪邸の前でしばらく待っていると、中から使用人が出てきた。
「田中様は主人とお食事に出られ...

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