タケシの武勇伝…(28)
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/11/12 20:16:52
『・・では・・・いただきます!』
3人は、声と手を一斉に合わせて礼をした。これが北野家の食事始めの決まりだった。
マキエがおかずに箸をつけると、そこで初めて二人は箸を取った。母が箸を付けてからでないと兄弟は絶対に食べ始めない習慣になっているのだ。
一旦はいつものように箸を取ったタケシだが...
思ったこと、感じたことの日記
『・・では・・・いただきます!』
3人は、声と手を一斉に合わせて礼をした。これが北野家の食事始めの決まりだった。
マキエがおかずに箸をつけると、そこで初めて二人は箸を取った。母が箸を付けてからでないと兄弟は絶対に食べ始めない習慣になっているのだ。
一旦はいつものように箸を取ったタケシだが...
ダイニングの扉が開くと、白い小箱を提げた母マキエが入ってきた。
「ただいま…ケーキ買ってきたからね!別腹だよ。フフフ」
持った小箱をテーブルの上に置くと、いつものようにそのままイスに腰掛けた。
「おかえり!…うん」
マキエと小箱に目をやりながらヒロシだけが返...
その夜・・・
やけにテレビの音が大きく聞こえる中、タケシとヒロシはテーブルに食事を並べながら母の帰りを待っていた。いつも母が仕事で帰りが遅いため、夕食の準備は兄弟で行っているのだ。
ただ、いつもと違っていたのは、他愛ない会話や料理のデキで喧騒となるはずの夕飯支度が黙々と行われていたことだっ...
「どうでしょう北野さん、今度またプリントを持ってきてもらう時に返事をいただくことにしては…次は3日後ですから、充分考える時間になると思うのですが…」
迷うタケシの気持ちを察してか、決断を促すように塙さんが日付を切ってきた。
「3日後ですか・・・」
「3日後はたしか...
「何にしたって、今返事すんのはムリっすよ」
「ええ、それは分かってます。それにお母さんとも相談しなければならないでしょうしね…でも、私としては是非了解して欲しいと思っています。まあ、手術よりもリハビリの方に時間がかかるでしょうから。もちろん費用など一切かかりませんのでその旨も一つ考慮...