Nicotto Town



自作小説倶楽部5月投稿

 『とあるおとぎ話』
 
  あたしは幼馴染の『のえる』が嫌いだった。
 読めない漢字で『のえる』なんて読ませる名前を付けるファンシーな脳みそのママを持った彼女はママの理想通りの大きなリボンにフリルのついたワンピースを着るような女の子に育った。
 そして「いつか王子様がのえるを迎えに来...

>> 続きを読む


自作小説倶楽部4月投稿

『菜の花畑の殺意』
 幼いころから病弱でしてね。病気の総合デパートなんて有り難くないあだ名を頂戴しましたよ。たまたまそういう体質に生まれてしまったんですよ。
 幸い両親は食うに困らない財産を残してくれました。どうせ長い人生じゃない。私の遠縁には没落してその日暮らしという人間もいます。だから私は幸運な...

>> 続きを読む


自作小説倶楽部2月投稿

『ある夜の魔法』
こんばんわ。まあ、あなた泥棒? まあ、怖いわ。
うふふふふ。そうね。怖がっている態度じゃないわよね。
ごめんなさい。
この歳になると怖いものなんてなくなるのよ。
大丈夫。この家にはわたし以外誰もいないわ。
そんなことより、見てちょうだい。美しい絵でしょう? 水の絵よ。
じいっと見て...

>> 続きを読む


自作小説倶楽部1月投稿

『青いため息/厄介な依頼人』
「わたくしは殺しておりません」 
俺は困惑していた。朝早くに事務所を訪れた女は上品でゆっくりした口調は崩さないが全身から怒りをみなぎらせている。テーブルの上に放り出されたままだった古新聞には「青い貴婦人」または「呪いの青い魂」と呼ばれるブルーダイヤモンドの競売...

>> 続きを読む


自作小説倶楽部12月投稿

『大晦日奇譚』
「ああ、もう、ムカつく! あたしが一体何をしたっていうのよ!」 あたしはひとり毒づいた。「カケルのアホ! 課長のハゲ! アヤコのドブス! 母さんの…」 さらに悪口は三巡し、あたしは知る限りの罵詈雑言を吐き出した。 そもそもの起こりはあたしの彼氏のカケルがクリスマスの予定...

>> 続きを読む





月別アーカイブ

2024

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009


Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.