「そっか。ちょっと無理だったか。」
「そうなんです。諒一も私も頑固なところがあるからから。」
こんな家庭の悩みを打ち明けられるようになったのはいつからだろう。本来綾奈は人に弱みをみせたり、プライベートまで話をしたりすることなどまずはない。
きっかけは忘れたが、それでも、雅也に話を聞いてもらう...
「そっか。ちょっと無理だったか。」
「そうなんです。諒一も私も頑固なところがあるからから。」
こんな家庭の悩みを打ち明けられるようになったのはいつからだろう。本来綾奈は人に弱みをみせたり、プライベートまで話をしたりすることなどまずはない。
きっかけは忘れたが、それでも、雅也に話を聞いてもらう...
「今日も残業ですか?」
綾奈はいつも6階のフロアから掃除を始める。上から下へ。これが綾奈の掃除の信条で、どうしたって雅也のいる6階が早めの時間に掃除をしてしまうことになる。
「あぁ。澤井さん。今日もお疲れ様。」
その声に雅也は今まで視線を落としていた資料から、綾奈へと視線を移す。
「お疲...
澤井綾奈はいつもの様に掃除道具を持って10階建てのオフィスビル『滝野コーポレーション』を見上げた。そして、いつもの様に6階の一角に明かりがついているのを確認する。
「今日も頑張ってるんだ、龍野さんは…。」
会えるのが嬉しいけど、でも毎日のように残業をしている龍野―――龍野雅也の体...