タケシの武勇伝…(23)
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/11/03 13:01:46
塙さんはティーカップをゆっくりと皿に戻すと、今度はきちんとタケシの顔を見ながら話し始めた。
「正直に申します…北野さん。我々がやろうとする手術は単なる医療技術ではありません。人体機能を再活性させる手術なのです。ですが、まだ人体と物質をつなげることはできません。特殊な条件でないと無意...
思ったこと、感じたことの日記
塙さんはティーカップをゆっくりと皿に戻すと、今度はきちんとタケシの顔を見ながら話し始めた。
「正直に申します…北野さん。我々がやろうとする手術は単なる医療技術ではありません。人体機能を再活性させる手術なのです。ですが、まだ人体と物質をつなげることはできません。特殊な条件でないと無意...
「手術を受ける気はありますか?」
塙さんの口調は元の冷静さを取り戻していた。
「おれの指が手術して治るんですか?そんな訳ないでしょ…」
紅茶に視線を落としたまま、タケシは相手の目も見ずにこういい返した。彼らしくない態度だが、それも無理からぬことだった。何も知らない者だったら信...
タケシは再びベッド脇のイスに座ると、今度は腕を組んでどっしりと腰掛けた。どんな話でもきっちり聞いてやろうと腹をくくっていたからだ。
とにかく、努めて冷静になろうと目を部屋中に走らせてみたが、そんな気持ちで見てみると特に興味を惹くようなものは見当たらなかった。
自然、目の前のチョコレート・ケ...
「き、北野さん…あなたはもう一度マウンドに立ちたいと思いませんか!わ、我々はぜひ貴方にもう一度ボールを投げてもらいたいのです。だ、だからどうか話を聞いてください…」
塙さんは、必死にタケシを押さえながら耳元でこう叫んだ。
「いいから放せ!大体さっきから何言ってんすか...
「シンさん。今さら謝られてもどうしようもないよ。だからとにかくそんな格好はしないでくれ。塙さんもやめてください!」
打ちひしがれた思いのタケシは、これが今言える限界の言葉だった。
シンさんと塙さんは顔を見合わせた。さっきまで怒っていたはずのタケシが、急にガッカリした姿に見えたからだ。
「北...