6月自作/傘『そこに佇む少女の場合』
- カテゴリ: 自作小説
- 2012/06/29 22:36:39
シリーズタイトル『からんころん』 2
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雨の交差点は、少しだけ切なくて。
そぼ降る雨に濡れながら、少女はそこに立ち竦んでいた。
まだ、幼い。
白いワンピースの裾が華奢な足に絡み付いて、色素の薄い皮膚を透かして見せる。
その裾をちっちっと引っ...
ぺんぎんの飼育法とかうどんの通販をやってるワケじゃありません
シリーズタイトル『からんころん』 2
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雨の交差点は、少しだけ切なくて。
そぼ降る雨に濡れながら、少女はそこに立ち竦んでいた。
まだ、幼い。
白いワンピースの裾が華奢な足に絡み付いて、色素の薄い皮膚を透かして見せる。
その裾をちっちっと引っ...
以前に書いたブツを序章的なものから作り直してみます。
基本一話完結だけど、長くなりそうな予感。
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産まれてきたことに、意味なんか無い。
そんな言葉すら、ここには存在しない。
村は突然に燃えた。
燃え盛る花畑の畔を逃げ惑う中で、少年は大人たちの断末...
雨の日の帰り道。傘もささないで水たまりを蹴ってはしゃぐ勇樹の後ろを、
「ゆうちゃん、おばちさんが怒ってるよ」
奈央は自分の傘を差しだしながら追いかける。
奈央の後ろには彼女の母親と、その少し手前を小走りで追いかける勇樹の母親がいる。
「傘をさしなさい勇樹! あぁもう、水たまりに入らないの!」
...
注) 先にお断りしておこう。
ほのぼーの全然ナイデス。
期待するイケナイアルね。
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『風摘むペンギン』
気がつけばいつも空を見ていた。
産まれた時から。
「また空を見てる」
不意に後ろから声をかけられ、ぼんやりと立...
彼女は、深く暗い海の中を漂っていた。
静かで音もない世界に、ちらちらと揺れる星屑。
時折薄く瞼を開き、目の前に浮かぶ巨大な暗い岩の塊を少し見つめては、また瞳を閉じる。
どれくらい前からだったろう。彼女は岩の塊を見つめるたびに、記憶の糸を辿っては何も思い出せないで、諦めてまた眠りについていた。...