タケシの武勇伝…(18)
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/10/20 21:39:04
「北野くん、塙さんの責任じゃないんだ。だから責めないでくれ…」
か細い声が沈黙を破るように発せられた。いつの間にかシンさんはベッドの上で正座していた。
「塙さんは父からこの地域を任されて、代わりに問題を処理しようとしたんだ。責任は全部僕のウチにある。だから僕にも責任があるんだ。だか...
思ったこと、感じたことの日記
「北野くん、塙さんの責任じゃないんだ。だから責めないでくれ…」
か細い声が沈黙を破るように発せられた。いつの間にかシンさんはベッドの上で正座していた。
「塙さんは父からこの地域を任されて、代わりに問題を処理しようとしたんだ。責任は全部僕のウチにある。だから僕にも責任があるんだ。だか...
「北野さん、貴方がケガをしたあのビル…実は真也さんのお父様の持ち物なんです」
落ち着いてるように見えた塙さんにしては、妙にぎこちないしゃべりになっていた。
「実は貴方がケガをした頃、あのビルを売って欲しいという話がありましたが、旦那さまはずっとお断りしておりました。なにしろ相手が...
塙さんは、タケシが追いつくのを待たずに扉を開いて部屋に入った。そこがシンさんの部屋だった。
遅れて中に入ったタケシだが、今度は驚きはしなかった。だが、とにかく部屋の広さに呆れてしまった。
…はあ?図書館かここは!
部屋は最初に訪れたデータルームの倍の広さがあり、左右それぞれ...
薄暗い廊下から明るいホールに出たタケシは、いきなりのまぶしさに思わず目を伏せた。だが、まぶしかったのはタケシのいるところだけで、それも日差しのせいではなかった。
ガラス張りの高い天井の真ん中には大きなシャンデリアがぶら下がっており、その金ピカな飾りに反射した光が様々な角度からタケシの目を射抜い...
注射と酸素吸入が効いたのか、ものの数分後にはシンさんの咳も止まり、顔色も元の青白さが戻ってきた。青白いのに元に戻ってきたというのもおかしいな話だが……
呼吸が落ち着いて吸入器が外されると、シンさんは白衣の男たちに退出するよう手で合図した。途中、男の一人がジロリとタケシを...