Nicotto Town



自作小説倶楽部6月投稿

『薔薇泥棒たち』

「あの無智蒙昧、不智不徳、無風流な連中には花一輪の美しさ、その中の生命の神秘、品種改良を重ねた数千年の先達たちの偉業を全く理解していない。感じることすらできないんだ。警官どもも口では怪しからんと言っておきながら高が花なんてと思っていることが丸わかりだ。今朝なんて捜査の進展を聞...

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自作小説倶楽部5月投稿

『霧の中』

男が扉を開けると乳白色の世界が目の前を覆った。
一瞬戸惑い、それが濃霧であることに気が付く。
〈山の近くではあるけど何なんだ。この霧は。〉
玄関の照明を消す前に腕時計を確認する。午前4時すぎ、もうそろそろ夜が明ける。車の鍵をしっかり握り、足元を確認しながら駐車場に向かう。今出て来た...

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自作小説倶楽部4月投稿

『桜の下の殺人』
(1) 「死体が埋まっているんです」
女がぼそりと言った。
「その場所はわかりますか? 」
老巡査は女を観察しながら言った。酒に弱いのか自分で節度を守りながら呑んでいたのか、あまりアルコールの臭いはしない。会社の花見でここに来たらしく暗めの色のパンツスーツで眼鏡をかけている。...

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自作小説倶楽部3月投稿

『我らX大学探検隊』

「諸君、わがX大学探検同好会の創立メンバーであり、永久名誉会員であり、部室のヌシでもある栄先輩がこの度どういうわけか卒業することになった。現会長の俺としては思い出に残る探検を企画し、これまで同好会のため尽くしてくれた偉業を称え、先輩の卒業を祝いたいと思う」
 卒業旅行なら...

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自作小説倶楽部2月投稿

Replay

「女性を探してほしいんです」とそのお坊ちゃんは私に言った。
「二十歳前後で、金髪で、化粧っけがなくて、暗い色のオーバーコートを着ていました。一目ぼれ?いえ。でも、彼女があんまり切羽詰まった顔で走って行くのを見たので心配で、二度も見たんですよ。B通りのカフェで、あそこの店主とは子供...

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