「契約の龍」(131)
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/11/20 12:06:38
思いがけない事で時間を取られてしまったせいで王宮に着いたのは、陽も傾き始めた頃になった。
新年の謁見の時間はとっくに終わっているはずの時刻だったが、午後の謁見はまだ終わっていなかった。控えの間にいる客の一人に話を聞くと、午後の謁見の開始が遅れた、とのことだった。「まあ、例年最終日には大勢の人が来...
ぶろぐ、の、ようなもの。
思いがけない事で時間を取られてしまったせいで王宮に着いたのは、陽も傾き始めた頃になった。
新年の謁見の時間はとっくに終わっているはずの時刻だったが、午後の謁見はまだ終わっていなかった。控えの間にいる客の一人に話を聞くと、午後の謁見の開始が遅れた、とのことだった。「まあ、例年最終日には大勢の人が来...
「「契約の言葉」というのは、要するに、言葉の力で、相手を縛りつけるものだ」
クリストファーが枝で地面を引っ掻きながら説明し始める。
「だからまず、縛りつける側と縛られる側の名前が要る。あんたの名前は後で確認するとして…あんた、ここを何て呼んでる?」
「…対象は「庭...
「その前に、確認したい事があるんだが…どうして契約者の死後も、魔法が継続してるんだ?」
――大きな理由の一つは、われら自身が呪陣を構成しているから、だの。もう一つは、領域内にある者どもが契約を代行しておる、という事かの。
つまり、学生や職員が、学院内にいる「力あるモノ」たちやその...
後ろで声がした。クリストファーが苛ついた様子で、爪先で地面をたたいている。…あるいは寒いのかもしれない。雪さえ積もってはいないが、あまり長く立ち話するような気候でもない。
――契約の文言なら、一言一句覚えているが?それがどうかしたか?龍の裔の息子よ。
「それはありがたいな。ここに...
――こうやって無事に育ちあがってくれて、ほっとしておるよ。…性格の方は幾分素直さが減ってしまったようだがな。それも最初の主に比べればかわいいもの。…外の世界というのは、そんなに風当りの厳しいものなのか?森の主。
そう問いかけられて、クリスの祖母が肩を竦める。
「時と...