自作小説倶楽部4月投稿
- カテゴリ: 自作小説
- 2016/04/30 23:13:19
『桜の下の殺人』
(1) 「死体が埋まっているんです」
女がぼそりと言った。
「その場所はわかりますか? 」
老巡査は女を観察しながら言った。酒に弱いのか自分で節度を守りながら呑んでいたのか、あまりアルコールの臭いはしない。会社の花見でここに来たらしく暗めの色のパンツスーツで眼鏡をかけている。...
『桜の下の殺人』
(1) 「死体が埋まっているんです」
女がぼそりと言った。
「その場所はわかりますか? 」
老巡査は女を観察しながら言った。酒に弱いのか自分で節度を守りながら呑んでいたのか、あまりアルコールの臭いはしない。会社の花見でここに来たらしく暗めの色のパンツスーツで眼鏡をかけている。...
『我らX大学探検隊』
「諸君、わがX大学探検同好会の創立メンバーであり、永久名誉会員であり、部室のヌシでもある栄先輩がこの度どういうわけか卒業することになった。現会長の俺としては思い出に残る探検を企画し、これまで同好会のため尽くしてくれた偉業を称え、先輩の卒業を祝いたいと思う」
卒業旅行なら...
Replay
「女性を探してほしいんです」とそのお坊ちゃんは私に言った。
「二十歳前後で、金髪で、化粧っけがなくて、暗い色のオーバーコートを着ていました。一目ぼれ?いえ。でも、彼女があんまり切羽詰まった顔で走って行くのを見たので心配で、二度も見たんですよ。B通りのカフェで、あそこの店主とは子供...
『悪友』
二枚田とは幼馴染です。悪友というんでしょうか。子供のころから悪戯をしてはよく大人に叱られました。でも、私が企んだことはないはずです。近所の柿を盗んで大目玉喰らった時だって、私がおいしそうに赤くなっていく柿を眺めていたら。アイツが「あれくらいならミっちゃんのうちの物干し竿で取れるよ」って...
『雪の思い出』
「お嬢さん。バスはあと二十分くらいで来ますよ」
女が文字のかすれた時刻表を見ようとしていると声がしたので思わす飛び上がりそうになった。しかし飛び上がることなく不安定な姿勢で立っていた足を踏み違え傷のある箇所を地面に着けてしまった。
「痛たた」
「まあ、大変、傷だらけ...
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