抜け弁天 その3 江の島 金亀亭ー東京SW
- カテゴリ: 自作小説
- 2014/02/25 14:34:47
佳は黒い石のあった崖の上がどうなっているか知りたかった。江の島の頂に登る階段道を右手に回る。
江戸時代の検校の碑がある。碑の裏手から崖下をのぞくと、人が歩いているのが見える。
「もしかすると、あの黒い石じゃない?」崖下に小さく黒い石が見えた。
「あの石に乗ったら新宿に行ってしまうのじゃないの?あっ!...
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佳は黒い石のあった崖の上がどうなっているか知りたかった。江の島の頂に登る階段道を右手に回る。
江戸時代の検校の碑がある。碑の裏手から崖下をのぞくと、人が歩いているのが見える。
「もしかすると、あの黒い石じゃない?」崖下に小さく黒い石が見えた。
「あの石に乗ったら新宿に行ってしまうのじゃないの?あっ!...
目の前に相模灘の海が広がっている。
陽の光をうけて金銀のさざ波が海一面にきらきらと輝いている。
遠くに霞む真鶴半島から右手に弧を引きながら湘南の海岸線が延びていた。
「この場所をよく覚えてください。ここに立てば抜け弁天に帰れるでしょうから。」
足元には波が寄せて今にも濡れそうだ。後ろには断崖絶壁がそ...
抜け弁天は新宿歌舞伎町から歩いて15分ほどの高台にある。
地下鉄東新宿駅近くの小さな食堂「駒ケ根」で朝7時に待ち合わせをした。実留と佳の体験からいうと、空間と時間を合わせることは重要だ。
不思議体験が8時30分だったから、朝7時に集まって朝ごはんを食べながら一日の行程説明をしたうえで抜け弁天に行くこ...
両側に杉の木が茂る薄暗く広い舗装された坂道を下っていく。左側に清明滝という案内板が見えてきた。
薄緑色のお揃いの作業着を着た男の人たちがなごやかに働いていた。庭の手入れをしているようだ。大きな石を抱えてうごかしている。
経丸が頭を下げて挨拶するが、誰一人気にもとめないで作業を続けていく。
佳が実留...
「経丸、もうひとつ石があるかな。伏見の水の紋様を書きたいんだ。」
経丸は実留に微笑みかけた。
「どんな紋様?」
実留は宙に紋様の形を書いた。
「それは、ほら、ここにもある。すごいね実留!実留ならわかるんじゃないかと思っていたけど、本当にわかるなんて」
経丸が指さした足元を見ると、確かに実留が書いた紋...