仮想劇場『セミと僕と大きなスイカと小さな風鈴』
- カテゴリ: 自作小説
- 2025/08/05 15:08:26
夏休みといえばお祭りとプール。かき氷に焼きもろこし。 お盆の準備に右往左往する母。 給水塔の濃い影に隠れた彼女のお下げ髪に水滴ひとつ。 そしてやはり軒下で扇風機と肩並べて頬ばる真っ赤なスイカの美味い事。 首振りに合わせて上半身をかしげながらの種飛ばし。 今年の僕は一味違う。去年の記録をあっさりと...
夏休みといえばお祭りとプール。かき氷に焼きもろこし。 お盆の準備に右往左往する母。 給水塔の濃い影に隠れた彼女のお下げ髪に水滴ひとつ。 そしてやはり軒下で扇風機と肩並べて頬ばる真っ赤なスイカの美味い事。 首振りに合わせて上半身をかしげながらの種飛ばし。 今年の僕は一味違う。去年の記録をあっさりと...
まだ8月でもないのに外は35度をゆうに超えて猛り狂った猛暑で、お隣さんの室外機も悲鳴を上げそうな勢いでワシワシと回り散らかしている。うちはというと寒がりな同居人のおかげかまだまだ電気代を気にする必要はないようで、28度設定のままどうにかこうにかやり過ごせている。 いま、同居人といったが正確には彼...
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「いやぁ、去年はお互いに大変だったねぇ」ってキミが言って、「そうだそうだ」と僕が答える。「今年こそは、いいとこ見せようぜ!」とキミが拳を握りしめ、これまた同...
「もうそろそろ良い返事を聞かせてくれてもいいだろう?」 悪友がそう言って一冊のクロッキー帖を僕に差し出す。僕は返事を渋りながらも黙ってその一冊を受け取った。
あれは今年の4月のことだったか。しばらくは納得もないままボー然と時を潰しすごしていた。ようやく重い腰をあげたのは6月に入ったころだったか。...
ハミ出し者の悲哀を抱いて か弱い言葉で愛を囁いてみても もちろん誰も耳を貸してはくれないから 僕はいっそ裏通りで拾ったこのピストルを手に 脅迫めいた言葉を半笑いでばら撒きながら 一発でもいいから誰かに当たれと切に願っている
バカはバカなりにいつだって必死なんだよ 常識で割り算されたら僕には何も...