アスーラとアズラーイル 5
- カテゴリ: 自作小説
- 2023/11/16 19:42:24
凍った湖に落ちた…はずだった。
なのに冷たさは感じなかった。水の抵抗すら感じない。ただ、落下していくのを感じていた。しかも、どんどん落ちる速さは増していった。
見上げると遥か遠くになった水面が揺らめいているのが小さく見えた。
それもすぐに見えなくなり、周りは暗く自分の手足すらわからなく...
凍った湖に落ちた…はずだった。
なのに冷たさは感じなかった。水の抵抗すら感じない。ただ、落下していくのを感じていた。しかも、どんどん落ちる速さは増していった。
見上げると遥か遠くになった水面が揺らめいているのが小さく見えた。
それもすぐに見えなくなり、周りは暗く自分の手足すらわからなく...
僕たちアズラーイルの一族はみんな子供の頃に「歌」を覚える。
それは僕らの遠い遠い祖先から受け継がれてきた。古すぎてもう意味がわからなくなっている言葉も多かったけれど。僕らの祖先の歴史と神龍様との絆が謳われているのだそうだ。
神殿に向かう道を籠に揺られながら、僕は心細さと恐ろしさで声を殺して泣いていた...
わたしは人間世界に遊びに行くために、人間のアヴァターラ(化身)を作った。
わたしの真の姿を見た人間たちは、驚いて逃げていくばかりで話もできなかったから。
「人間は野蛮で龍族よりずっと知能が低い。そして、瞬く間に老いて寿命を迎えてしまう。だから、仲良くなろうなんて思わないほうがいい。あなたは女王になる...
村の長老が僕は「神龍様と一心同体になり、人々を救うために」神殿に行かなければいけないと言った。
どうして僕なの?
それは聞かなくてもわかっていた。僕を守ってくれた両親はもういない。狩の途中でマハール族に襲われたのだ。後には母が使っていた弓矢と父の持っていた槍の残骸だけが残っていた。
何よりも、僕は非...
おばあ様が子供だった頃(そんな時があったなんて信じられない!)、世界には数えきれないくらいたくさんの島があって、どの島にもたくさんの村があって、どの村も両手で数えきれないくらいの人が住んでいたんだそうだ。
何百人も乗れる大きな船があって、何十日もかけて島々を周ることも出来たんだって。今ではもう誰も見...
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