Nicotto Town ニコッとタウン

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まりの

限りなく続く音(10)

 私が草太を探しに出たのは夕刻だった。 母は私の手に包帯を巻きながら「そっとしといてあげなさい。そう遠くへ行ける筈もないし、すぐに戻るわよ」と言った。私は(お母さんがそう言うのだから、その方がいいのだろう)と思ったが、それは先刻の草太に恐れを感じたことへの言い訳だったかもしれない。 私は浜へと自転車...

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限りなく続く音(9)

 私たちは寝ぼけ眼で朝食を採り、水着の上に服を着て、母に小言をくらう前に家を出た。夜中に抜け出したことは気付かれなかったようだったが、私たちは眠かったのだ。物置からパラソルを引っぱり出し、草太がそれを担いで海へ向かった。 二人で砂を掘ってパラソルを立て、シートを広げると、私は日陰に転がった。草太はシ...

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限りなく続く音(8)

 もと来た道を引き返しながら、草太は自分のことをぽつりぽつりと話した。祖父の墓の前で泣いているうちに、いろいろと思い出すことがあったのだろう。 泣いた後には、必ず穏やかな静寂が訪れる。それがなぜなのか私にはわからないが、私はこの時初めて、(やみくもに泣いてもいいのかもしれない)と思った。泣き疲れて深...

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限りなく続く音(7)

 真夜中、私は足音を忍ばせて草太の部屋へ向かった。寝付けなかったのだ。草太も同じようで、明かりを消した部屋で目を開けていた草太は、障子のはめ込みガラス越しに私を見つけると布団の上に起き上がった。私は無言で障子を開け、畳の上を這って草太の枕元に座った。「何しに来たんだよ」「出た?おじいちゃんの幽霊」 ...

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限りなく続く音(6)

 息を切らし汗を流して登った山の林を抜けると視界がひらけた。どこまでも広がる空と海ばかりがそこにあった。見下ろせば漁をする船が波に揺られている。トンネルでくぐった山を隔てた所にある小さな漁港から沖に出た船だ。私たちは手をつないだまま、岬の突端に立って崖下を覗き込んだ。「危ないよ草太」「うん。だいじょ...

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