# - 榡嗚
コンクリートに叩きつけられる鉄骨の音で目が覚めた。薄暗がりの中、擦り切れた毛布の下で蠢く体温が生ぬるくて、私はまどろみに沈む。 今日もまたたくさんのカメラが待っている。眩いフラッシュと照明が降り注ぐ、赤いベッドの上の悪夢。理性なんて邪魔なだけ、自由になれない身体がてらてら光る、陸で...
未来日記所有者14thの日記。
その日の出来事が「全て」小説のように綴られている。
しかし一日一回しか未来が更新されないので、大まかな事しか解らず精密さに欠けイレギュラーに弱い。
# - 榡嗚
コンクリートに叩きつけられる鉄骨の音で目が覚めた。薄暗がりの中、擦り切れた毛布の下で蠢く体温が生ぬるくて、私はまどろみに沈む。 今日もまたたくさんのカメラが待っている。眩いフラッシュと照明が降り注ぐ、赤いベッドの上の悪夢。理性なんて邪魔なだけ、自由になれない身体がてらてら光る、陸で...
何にも手が届かないのなら。
何にも満たされることがないのなら。
いっそ、この世界そのものが、最初から無かったことになればいいのに。
*
「お前、今日からお部屋を雲にあげてね」
今にもぐずり出しそうな雨雲が、重く垂れこめている朝だった。 湿った空気が頬を撫で、髪を乱す。 いつも通りに...
分かってましたよ、それくらい。
最初から、誰も幸せになんてなれないことくらい。
でも、望むくらい良いじゃないですか。
……いけませんか、幸せになりたいと願うのは。
*
夢を見ていたような気がする。 遠い昔の、まだ何も知らなかった頃の夢。 あの頃は幸せだっ...
きっといつかは救われるから、私は待つの。
きっといつか救ってくれると信じているから、私は誓うの。
神様、貴方だけを愛しています。
*
赤、黄、桃色のコントラスト。 広がる鮮やかなキャンバスに、波紋を広げて歩む。
「お父様、お母様」
キラキラ光るステンドグラスの表面に、飛び散るグロ...
リリスの子よ、ひれ伏しなさい。
その罪に傅き、贖罪を受けるのです。
*
「被告人は〝殺人〟の罪で起訴されました。ヒトで無き者がヒトを殺めてはなりません」「よって被告人を〝有罪〟とし、〝死刑〟判決を言い渡します」
木槌が打ち鳴らされる。 静寂を守っていた傍聴人達は、一斉に色めき立ち声を上げて賛成...