彼がノックをして私の部屋に入ってくる
「酔っていないか」
「はい」
そう応えたが『酔う』という事が分からない
「そろそろ夕食の時間だ。何か食べたいものはあるか?」
私は少し驚いた
こんな事を訊かれたのは初めてだった
食べる前に彼が教えてくれた料理の名前が頭の中で渦巻く
一番美味しかったものを応えよう...
彼がノックをして私の部屋に入ってくる
「酔っていないか」
「はい」
そう応えたが『酔う』という事が分からない
「そろそろ夕食の時間だ。何か食べたいものはあるか?」
私は少し驚いた
こんな事を訊かれたのは初めてだった
食べる前に彼が教えてくれた料理の名前が頭の中で渦巻く
一番美味しかったものを応えよう...
日が南南西に傾いた頃
彼は帰って来た
おかえりなさい
心の中でだけ呟く
彼から話しかけられた時だけ
私から話しかける事は禁じられている
「行くぞ」
「はい」
手ぶらで部屋を後にする
いつも部屋から見ていた
海 という所に向かう
それは透明で
太陽の光を受けると
輝いていた
彼の部屋にあった
宝石...
少し冷たくて細い指
がっしりした大きな手
私の手は包まれるように
でもしっかりと握られる
応えるように
そっと握り返す
私たちは眠りについた
心地よい眠り
暖くて幸せで平和な眠り
「起きたか」
身体を起こすと青年がイスに腰掛けて紅茶を飲んでいる
「円も飲む?」
「うん」
頷くと私は彼の向か...
私の隣で最愛の人が笑っている
私も笑う 涙がでるほどに
心が満たされている 幸せだな そう思う
素直になった記念から2年と48日
私の家に二人きり
周囲とも打ち解け 昔よりずっと素直になった
ファッションにも関心を持ち始めた
「ありがとう」
ちょっと驚いた表情を見せた彼は微笑みかける
―――...
白雪姫が告白された日から36日経ったある日。
誕生日おめでとう
覚えててくれたんだ ありがとう つばき
いや・・・ あのな 私は 苦い日々を過ごす事になった白雪姫に お詫びがしたい
ありがとう でも良いよ 僕はまた 雪の女王の心を 溶かすことができたから お互い様
そうか? 静夜にはすま...