蜜月(迷宮 番外編) 後編
- カテゴリ: 自作小説
- 2012/01/03 20:21:36
「孝也くん…。」
「俺より、親父やおふくろに大事にされる方がうれしいんだ?」
孝也は玲の座っている二人がけソファーの横に腰を下ろして、問いかけた。
「―――ないよ…。」
「え?聞こえないけど。」
答えはとっくにわかっている。だけど言葉で欲しくて孝也は玲の瞳を下...
「孝也くん…。」
「俺より、親父やおふくろに大事にされる方がうれしいんだ?」
孝也は玲の座っている二人がけソファーの横に腰を下ろして、問いかけた。
「―――ないよ…。」
「え?聞こえないけど。」
答えはとっくにわかっている。だけど言葉で欲しくて孝也は玲の瞳を下...
「おめでとうございます。二ヶ月に入られたところですよ。」
その週、いつもより体調が悪かった玲を心配して、同居している(年の半分は海外で放蕩生活をしている)父毅に社長業を押し付け、滝野家の所有する総合病院に連れて行った孝也に産婦人科の医師はニコニコと告げた。
「え?」
イマイチ言っている意...
「姫。一曲踊っていただけませんか?」
そう言って玲に深々とお辞儀をしたのは、薄いグレーのタキシードに身を固めた孝也だった。ただでさえ、引き締まった体躯の孝也だが、そのタキシードは孝也をいつも以上に大人に見せた。
6時にはじまったパーティーの1曲目を踊ってから、いろんな取引相手にあいさつ...
「いいね、そのドレス。」
孝也は玲の真っ白のドレス姿に、ややきつい眼を優しく細める。
実際、ウエストまでまったく何もない、美しい白い光沢ときゅっと絞られたウエスト。そして、ウエストからすそまで豊かな布にちりばめられた真っ白な上品な真珠は、玲の白い肌を、より一層引き立てている。
...
そうして、今日。 とうとう玲にとって覚悟に日がやってきたのである。
その日は夕方から滝野家でクリスマス・パーティーが行われることになっていた。
朝から、孝也の母親は忙しそうに立ち回っている。
「おかあさま、何かお手伝いをすることはありますか?」
玲は今日何度目かのそのセリ...