Nicotto Town



自作小説倶楽部 2月期小題

食べる女

彼女の名前は、そう、ノリコって言いました。カオリのこと?いいえ。ノリコのことから話さなきゃあ。すべてノリコのせいなんです。漢字でどう書くか?苗字?知りません。聞いたかな?でも覚えてないです。平凡な名前でしょう。彼女の外見も地味な女でしたよ。でもね。恐ろしく強欲な女でした。
最初に会ったの...

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自作小説倶楽部 1月お題

『永遠の少女』

着替えが終わるとヤエは障子を開け、トヨを椅子に座らせた。
眩しい光が少し肌に痛かったが、暖かな風が心地よくトヨの髪を撫でた。しばらくトヨが風を楽しんでいると、どこからか小さな花びらが一枚、トヨの足元に落ちて来た。
(あの花が咲いたんだわ)
トヨは畳の上を転がってゆく花びら...

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自作小説倶楽部 12月期小題

『惑星の夢』

「助かりました。遠くからキラキラと人工の光が見えたので降りて来たのに何も見つからないし、行けども行けども岩と砂しかなくて途方にくれていたんです」
旅人は焚き火の光に目を細めて言った。炎は少し熱すぎたが砂漠の中の小さな光 は彼の心を昂揚させた。
「昔はもっともっと明るかったよ」...

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自作小説倶楽部11月期小題

 雪の末裔

「冷たっ!」
男はテーブルに触れた左手を反射的に引っ込めた。
「あら、水がこぼれてた?」
「いや、大丈夫」
水にしては冷た過ぎる。男は微かに濡れた手のひらと、次に女の後ろ姿を見つめた。声を掛けただけで男に興味を失いファミレスの出口に向かう。その表情を見ることは出来なか...

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自作小説倶楽部 9月期小題

『美しい薔薇』
   「おはよう」
「おはよう」
予期しない挨拶が返って来た。相手は庭に咲いた薔薇だ。
「あなたが光を入れてくれたおかげで咲くことができました。ありがとう」
「どう致しまして」
意図したことではなくて引っ越しの時に縁側が枯れ葉と毛虫だらけになっていたから...

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