Nicotto Town


しだれ桜❧


 

刻の流れ 43の2


廊下の煙は少しましだが、暗いことには変わりなかった。犬飼はエレベーターのボタンに飛びついた。しかし、何度押してもウンともスンとも言わない。電気系統がやられたのか、下で止まったままなのか・・・。しかも、ドアの隙間からは熱気と共に白い煙が染み出してきた。
「おい、非常階段は?」
犬飼が聞いた。
「右側...

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刻の流れ 43の1

昨夜最後の客が店を後にし、佐竹がカウンターを拭いているところに押し入ってきた黒っぽいスーツの男達。凄みがあるのにやくざという感じでもない。男達は昨日店に来た情報屋と、そいつとコンタクトを取った人間のことを聞いてきた。佐竹とて、決して口が軽いわけではなかったが、隠しとおせる状況じゃなかった。今朝、情報...

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微かな南風ー18

すずらんは昼食が終わって一瞬 頭がクラっとした「あれ?」めまいの後 自分の見える範囲がいつもと違うと 手のひらを見ても 自分の手のひら スタッフみんなを見てもいつもと変わりない あれ? でも 何か違うと ちょっと今まで走ってきた道を見てみた砂漠に1本道なんだけどと思ってる間に 視点がどんどん上に上が...

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刻の流れー42

犬飼はひろみの言うように、とにかくトリニティーへ寄ってみることにした。新宿にある雑居ビルの最上階にその店はある。入り口からすぐに5人乗りの小さなエレベーターで5階まで上がると、申し訳程度の広さのエレベータホールから左側に短い廊下と3つのドアがあり、それぞれが小さな飲み屋である。その一つが、佐竹の店、...

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刻の流れー41

気がつくと電話が鳴り続けている。
「うるせー、誰だ・・・」
と時計を見ると、もう昼の2時過ぎだ。頭が痛い。電話の音がガンガン響く。犬飼は思わず布団を頭までかぶってやり過ごそうとしたが、どうやらもう一度寝かせてはくれそうにない勢いだ。
「あ~、もしもし・・・」
あきらめて、受話器をとった犬飼の耳に
「...

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