自作小説倶楽部 12月期小題
- カテゴリ: 自作小説
- 2014/12/31 23:01:08
『惑星の夢』
「助かりました。遠くからキラキラと人工の光が見えたので降りて来たのに何も見つからないし、行けども行けども岩と砂しかなくて途方にくれていたんです」
旅人は焚き火の光に目を細めて言った。炎は少し熱すぎたが砂漠の中の小さな光 は彼の心を昂揚させた。
「昔はもっともっと明るかったよ」...
『惑星の夢』
「助かりました。遠くからキラキラと人工の光が見えたので降りて来たのに何も見つからないし、行けども行けども岩と砂しかなくて途方にくれていたんです」
旅人は焚き火の光に目を細めて言った。炎は少し熱すぎたが砂漠の中の小さな光 は彼の心を昂揚させた。
「昔はもっともっと明るかったよ」...
雪の末裔
「冷たっ!」
男はテーブルに触れた左手を反射的に引っ込めた。
「あら、水がこぼれてた?」
「いや、大丈夫」
水にしては冷た過ぎる。男は微かに濡れた手のひらと、次に女の後ろ姿を見つめた。声を掛けただけで男に興味を失いファミレスの出口に向かう。その表情を見ることは出来なか...
『美しい薔薇』
「おはよう」
「おはよう」
予期しない挨拶が返って来た。相手は庭に咲いた薔薇だ。
「あなたが光を入れてくれたおかげで咲くことができました。ありがとう」
「どう致しまして」
意図したことではなくて引っ越しの時に縁側が枯れ葉と毛虫だらけになっていたから...
美耶子は清二の白いシャツの背中を見つめながら歩いていた。森の木々が夜の闇に沈み、点々と取り付けられた照明が二人の歩く道を照らしている。夏虫やカエルの微かな鳴き声があちこちで聞こえていた。
美耶子は自分の足音を聞きながら唇を噛んだ。
あたしってなんてみっともないんだろう。
着ている浴衣は新品だ。...
ニコットの小説サークル 文芸館『one time of jewel』に参加してるのですが 休止中なのでこっちに載せましたです。
a haunted house嵐の夜に旅人がたどり着いたのは誰も近寄らぬ幽霊屋敷。
ひさびさの獲物だわいと亡者たちは大喜び。てんで騒いでいるところ、年長のカイゼル髭の将軍...
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