Nicotto Town


しだれ桜❧


 

刻の流れー40


犬飼 明、彼は一匹狼のルポライターだった。見た目は華奢だがそれは着痩せするだけで、持久力には、かなりの自信がある。短く刈り込んだ髪に広い額、その下に結構短気そうに吊り上った眉と鋭い目、不敵な笑い皺がある口。一度獲物を見つけたが最後、地獄の果てまでも追いかける。まるで影のごとく渋太く憑きまとう彼を仲...

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刻の流れー37

将来、美貌のコンパニオンになる素質があると考えられた桜だが、それ以上に石橋が桜に期待したのは、要の後釜としてのポジションだった。要の右足はリハビリが功を奏してようやく元通りに動くようになっていたし、事故が元で増えてた体重も、本人の過激ともいえる減量でかなり減ってきている。しかしながら、限界が近いこと...

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微かな南風ー17

皆さんもご存じのように 砂漠とラクダは切っても切れない「月の砂漠」というイメージから なだらかな砂の海を隊商がゆっくり移動していくイメージが一般的かな?航空写真でみると シルクが波打っているように見えるものが多いし風の力による風紋とかは心を癒してくれる風景 などなど砂漠といっても一括りにはではない
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刻の流れ 36

「桜だ。面倒をみてやれ。」
石橋はそう言うと、桜と呼ばれた少女の背中を軽く押した。
一歩前によろけ出た少女の黒目がちの目が大人たちを見上げた。色は抜けるように白く、紅を引いたような唇をきっと結んでいる。細すぎる身体、そしてアンバランスに結われたおさげ。野良猫のようにおどおどした瞳が、彼女のそれまでの...

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刻の流れ 35

霞は、もう何年も前から店を引退したがっていた。コンパニオンは大方が、30半ばで店を去っていく。いつまでも出来る仕事ではないし、その頃には自分で十分店を開けるだけの蓄えも出来ているのだ。霞は、38歳、ラ・パルフェ・タムール開店以来のコンパニオンだった。彼女が、最初に引退を石橋に申し出たのはもう5年も前...

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