【試着】(「契約の龍」SIDE-C)
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/10/03 10:31:22
「アレク。今日のうちに試着、済ませておこう」
仮装舞踏会の前日、つまり冬至の日、アレクに声をかけると、ひどくたじろぐ様子を見せた。まさか忘れていた訳では。
「し…試着?」
「そう。それによって、補正下着の調整がいるから」
「ほ…補正?下着……...
ぶろぐ、の、ようなもの。
「アレク。今日のうちに試着、済ませておこう」
仮装舞踏会の前日、つまり冬至の日、アレクに声をかけると、ひどくたじろぐ様子を見せた。まさか忘れていた訳では。
「し…試着?」
「そう。それによって、補正下着の調整がいるから」
「ほ…補正?下着……...
人を綺麗に着飾らせるのは、楽しい。
もともとの素材が良いと、仕上がりが良く映えるので、満足感がある。
上級者の楽しみとしては、「埋もれた逸材」を磨き上げる。というのもあるそうだ。
例えば、セシリア。彼女に会った時の第一印象は、「かわいいけど神経質そうな子」だった。実際に話をしてみると、多少の...
一年で一番遅い朝、冬至祭のイベントは、「スタンプラリー」の結果発表から始まった。
予想通り、クリスをはじめとする年少組のトラップに引っかかって、スタンプ六十九個のパーフェクトを叩きだした者はいなかった。
そして、スタンプの数こそ六十二、と少なめだが、一人だけ、クリスを含め、他のトラップにも引っ...
「…何にせよ、お前も具合が悪いなら、横になっといた方がいい。明日はきついぞ。…今日はもう終いだったんだよな?」
「んーと…日没後に、一時間くらいあった、かな。そうでなくても、昨日休んじゃったから」
「休んだのは気にするな。たぶんそれも織り込み済みで「ペ...
「クリスがここで世話を焼いてたら、気になって休めないらしいな。世話を焼くのは、そういう役目の人に任せよう」
そう言ってクリスをその場から離そうとすると、毛布の下から声が上がった。
「…ああ、この時期は、「奥」の方の人手は会場の方に少し割いてあるからな。戸締りだけしといてくれればい...