新高円寺の駅に向かう途中、住宅街の中を歩いていると甘い香りが漂ってきた。見上げると、金木犀の小さなオレンジ色の花が、身を寄せ合って窮屈そうに咲いていた。太一には、満員電車に乗っているサラリーマンのように思えた。
会社に着くなり、チームリーダーの高橋に呼び止められた。明日までに、化粧品会社から依頼さ...
新高円寺の駅に向かう途中、住宅街の中を歩いていると甘い香りが漂ってきた。見上げると、金木犀の小さなオレンジ色の花が、身を寄せ合って窮屈そうに咲いていた。太一には、満員電車に乗っているサラリーマンのように思えた。
会社に着くなり、チームリーダーの高橋に呼び止められた。明日までに、化粧品会社から依頼さ...
秋子は、洗濯ものを畳みながら、どうして天気の悪い日が続くのかしら、洗濯物が増えて仕方がないと、ぶつぶつとこぼしていた。
長男の夏男が、高校の野球部に入っていて、毎日、ユニフォームやストッキングの洗濯をしなければいけない。グランドが湿っていると、洗濯物は泥だらけになっていて、他のものと一緒に洗うこと...
高松市の中心部を東西南北に貫くように商店街のアーケードが伸びている。かつて日本有数の商店街として賑わっていたが、郊外型の大型店舗に客を取られ、今では人通りの少なくなった商店街を、夏子は自転車で走っていた。
ドラッグストアで買ったシャンプーや洗剤が自転車の篭いっぱいに詰め込まれ、夏子の額には汗が浮か...
かきたまうどんを食べていたおっさんは、訥々と話し始めた。
「うちの婆さんな、蜘蛛が好きやったんや。婆さんの若い頃は、農薬や使いよらんかったやろ。蜘蛛は、田んぼや畑の蛾やウンカをつかまえてくれるから、見た目は、気持ち悪いけど、農家には大切な虫や言うて、あんたも、嫁さん貰う時には、見た目で判断せんと、...
台風17号が九州に接近し、四国も土砂降りになっていたが、「まつはま」は、いつものように混んでいた。席は空いているが、打ちたて茹でたての麺を出すのが店のポリシーで、うどんを受け取るレジの前に行列ができていた。
http://www.rnc.co.jp/sp/udon/bn/index.asp?id=1...